爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「木を燃やして脱炭素という虚構と欺瞞」田中淳夫さんの主張より。

まあその主張の中にはやや疑問を感じさせるものもある、森林ジャーナリストの田中淳夫さんですが、今回の記事の内容は共感できるものでした。

news.yahoo.co.jp二酸化炭素排出削減と称して、バイオマス発電設備と言うものが建設されようとしています。

「木を燃やしてカーボンニュートラル」ということが広く言われていますが、それに対して疑問を呈しています。

 

愛知県田原市バイオマス専焼の発電設備が着工されるということですが、燃料は木材ペレットを使うということなので全量輸入となります。

また、損保ジャパンが発売した供給保障保険付き燃料と言うものも話題となっていますがこれはマレーシアから輸入するヤシ殻由来のものです。

こういった海外からの輸入には当然ながら輸送燃料が必要となりますので、その分だけでもカーボン排出となります。

 

さらに問題なのは、植物使用はカーボンニュートラルだという主張そのものだということです。

木材使用の場合、日本でもだいたい樹齢50年以上、海外では100年以上の樹木が使われます。

これらの植物は二酸化炭素を吸収して成長しているとはいえ、その生長期間は非常に長くその間の二酸化炭素吸収分はマイナスのままです。

さらに、この伐採後の空き地に植林しなければ二酸化炭素吸収にはならないはずですが、日本の場合でも伐採後には7割以上の空地が放置されています。

このような放置地では地中の有機物が分解され二酸化炭素やメタン発生も起き得ます。

 

林野庁は森林の二酸化炭素吸収量をこれまでより1000万トン以上も上積みし、3800万トンとすると表明しました。

しかし、あくまでも計算上の操作にすぎず実際に森林の吸収量を促進するなどということができるはずもありません。

気候変動への対処のために二酸化炭素排出を削減するという話が定着してしまっていますが、排出量というものを設定したがために

ところが手段の目標値を掲げたために、今や手段が目的と化している。しかも手段の方法にも科学的でない理屈をひねり出している。これでは、仮に見かけだけの二酸化炭素削減目標を達成したとしても、実際の大気中の二酸化炭素は減っておらず、気候変動も止まらないのではないか。

という状態になっているということです。

 

今回の田中さんの主張は極めて当然すぎると感じるものですが、それすら分かっていないままにおかしな主張をする人がはびこっているようです。