赤身肉、と言ってもいわゆる「脂肪の少ない肉」といった用法ではなく、牛・豚・羊などの哺乳類の食肉を指します。
糖分が少なくタンパク質が多いことから、「ダイエット向き」(日本的用法の”ダイエット”)と言われることもありますが、一方では発がん性があるなどといった話も聞きます。
これについて、栄養疫学の研究者の村上健太郎さんが「栄養を科学するブログ」でまとめていました。
kmnutri.com参照されている研究論文は、欧米のものが多いようで、日本ではされていないようです。
赤身肉はたんぱく質ばかりでなくビタミンや亜鉛・鉄なども多く含んでいますが、一方では不飽和脂肪酸やコレステロールも多いため害と益双方が考えられます。
すると、2型糖尿病、循環器系疾患、ガンによる死亡率が10%以上高まるようです。
タンパク質を効果的に取れるという利点はあるのですが、この数字をどう見るかでしょう。
なお、日本人は欧米人に比べて赤身肉の摂取量が低いから大丈夫なのではないかということも言われていましたが、最近の調査によれば欧米人の摂取量が下がっているのに対し日本人は上がっており、それほど差は無いようです。
日本人の食事のパターンを見た調査研究がありますが、それにはいくつかのタイプがあり、「健康パターン」という傾向の人々は赤身肉はあまり食べずに野菜やイモ類、海藻などの摂取量が多いのですが、「西洋パターン」と呼ばれる人々は赤身肉ばかりに偏り、他の食品をあまり食べないという傾向が強いようです。
それでは欧米人以上に害が出るでしょう。
なお食品として人の健康に影響するというのではありませんが、赤身肉の生産によって大きな環境負荷がかかるということは問題となります。
飼料として食べさせる穀類などが大量に必要であり、それを含めて二酸化炭素排出量も多くなります。
やはり健康を考えても環境を考えても、赤身肉の摂取はせめて鶏肉などに代えることは必要かもしれません。