爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「英国ロックダウン100日日記」入江敦彦著

イギリスは2020年3月23日より新型コロナウイルス感染流行に対する方策として、ロックダウンを開始しました。

ロンドン在住のエッセイスト、入江敦彦さんがそのロックダウン下の生活の様子を毎日綴った日記です。

 

入江さんは京都出身ですが、現在はパートナーの方とロンドンに住んでいます。

日記では毎日の出来事の他に作って食べた食事やデザートなどの内容も書かれていますが、和食や中華を中心になかなかの腕前のようで、しかも食材の調達にもあまり不安はなかったようで、食生活の問題は無かったものと拝察しました。

 

ロックダウン中でも食材の調達のための外出は一日一回は許されていたそうで、大型スーパーには行かなかったものの近所の小売店で買い物をできたようです。

そういう所の方が面白い食材も揃っているということもありました。

 

しかし、その期間の間にパートナー(男性です)の方の母上が亡くなるという事態にもなったのですが、認知症で施設入所のまま会うこともできずに亡くなり、火葬されてしまうということで、厳しい状況であったことが分かります。

 

イギリスはヨーロッパの中でもマスク着用率が飛びぬけて低いようで、数々の場面で入江さんはかなり頭に来る場面もあったようです。

ただし、ご本人も出かける際に忘れることもあり、たまたまその時に訪れた食材店でマスク非着用者の入店が断られるということもありました。

 

ロックダウン中には仕事のできない労働者に対して収入の80%を保障するという政策が取られたそうです。

しかし、それは雇用者から仮払いされて政府がその後雇用者に補填するという制度にされたため、おそらくかなり支給されない人も出るのではと危惧していました。

その後、どうなったのでしょうか。

なお、この政策は「人々が困るから」やるのではなく、「暴動が怖いから」やったに違いないというのが入江さんの読みです。

 

100日間の中で、入江さんご本人も体調不良で発熱するということもありました。

これはコロナに罹ったかと観念して様子を見たようですが、その際も病院に駆け込むということも無く、対処マニュアルのようなものがありじっと家で経過を見ています。

結局はコロナウイルスではなく別の原因だったようです。

 

100日でかなり感染が収まったとしてロックダウンは解除されるのですが、その時のバカ騒ぎは激しいものだったようです。

マスクもせずにはしゃぎまわる若者たちを苦々しく見ています。

 

ロックダウンからおよそ100日経って、徐々に緩和策が取られつつあった7月4日までで日記は終わっています。

 

その後、やはり感染は再発しさらに2回ロックダウンされたようです。

入江さんも無事に暮らしているのでしょうか。

 

英国ロックダウン100日日記

英国ロックダウン100日日記

  • 作者:入江敦彦
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)