爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「院内感染」という言葉の意味の変化。

病院でのコロナウイルス感染が広がっているということで、医療従事者の家族の保育園通園や介護施設通所が断られる事態が頻発しているというニュースに接し、憤りを感じて以下のような記事を書きました。

sohujojo.hatenablog.comしかし、このところの感染者増加は特に医療機関で頻発しており、しかも医師や看護師など医療従事者自身の感染が出ています。

 

これは、どうやら一方的に医療従事者家族を締め出すことを非難してもいられないかもしれません。

 

このような医療機関での感染の広がりを報道では「院内感染」と報じています。

もちろん、病院の中での感染拡大ですからそう表現して間違いはないのですが、これまでの状況とかなり変化していると言えます。

 

院内感染 - Wikipedia

Wikipediaのこの記事はかなり不備があるものとされていますが、その中の記述は一般的なものでしょう。

 

「院内感染とは」

 病院医療機関内で、新たに細菌ウイルスなどの病原体感染すること。病院外での感染を表す「市中感染」と、対を成す用語である。特に薬剤耐性の病原体や日和見感染 (Opportunistic infection) によるものを指す。

 特に、後半部分が従来の感覚だと思います。

 

私もかつて薬剤耐性菌についての仕事をしていたことがあり、この辺の事情については興味がありました。

その当時の概念で言うと

「院内感染とは、免疫力の低下した入院患者の中で薬剤耐性菌や日和見感染菌が伝染し蔓延してしまうこと。」

というものでした。

 

菌種としては、さほど病原性が強くないものの抗生物質などが効きにくい、MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)やMRSE(同、表皮ブドウ球菌)、緑膿菌(シュードモナス)といったものが多かったようです。

 

これらの感染症は、健康な人々には取り付くことが少なかったので医師や看護師はほとんど大丈夫と言えました。

 

今回のコロナウイルスの院内感染では、健康体でも関係なしですので、感染力のあるウイルスを排出する患者が居た場合は間近の医師・看護師が一番に感染してしまうようです。

 

医療崩壊」というものが、受け入れ可能患者数以上の重篤患者が押し寄せるといった意味で使われていたと思いますが、まさか病院の医師や看護師が次々と感染してしまうことで起きるとは思っていませんでした。

コロナウイルス感染患者だけでなく、他の病気の患者や怪我人(私もそうなりかけました)も処置することができなくなるような、医療崩壊であると大きな影響が出そうです。