フランス歴史物は昔から好きであれこれ読んできたつもりでしたが、三銃士やああ無情など、せいぜい16世紀以降のものばかりということに、この本を読んで気付かされました。
本書は新しくても13世紀まで、中世のフランスのあれこれを現在のフランス各地の風景から想像するというもので、ブルボン朝などは出てきません。
ウィリアム征服王や修道士、巡礼やトルバドールといった、中世らしい事柄であふれています。
絶対王朝がフランス全土を治めた時代とは異なり、王が直接治めることができたのはイル・ド・フランス周辺のわずかな土地だけでした。
それも当時は一箇所の王宮にとどまるわけではなく、たえまなく巡回していたそうです。
パリ周辺が集中して栄えた近世と異なり、地方の各地がその領主の繁栄とともに栄えていました。
シャンパーニュ、アンジュー、ラングドック等々、各地にそれぞれの文化があったようです。
なお、著者のレジーヌ・ペルヌーさんは1998年に88歳で亡くなられたそうです。
中世を主に研究した歴史家として有名だった方だったようで、当時の新聞各紙には弔辞が掲載されたそうです。
ジョルジュさんは弟さんですが、それよりはかなり前にすでに亡くなっています。
共著という形にされたのはレジーヌさんの希望だったとか。
フランス人が中世を振り返って古き良き時代と感じるかどうかは分かりませんが、本書はその香りを漂わせているようです。
- 作者: レジーヌペルヌー,ジョルジュペルヌー,R´egine Pernoud,Georges Pernoud,福本秀子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2003/05
- メディア: 単行本
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