日経新聞に出ていた記事ですが、気候テックとやらで期待が高まる5つの分野を紹介とのことです。
まず「気候テック」という言葉自体かなり違和感を覚えるところです。
地球温暖化という問題が大きなもののように見せようという思惑で動いてきたものが確固となってしまったということでしょう。
その5分野というのが、
1,グリーン水素開発企業
2,大気から二酸化炭素を直接回収するダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)
3,マイクログリッド(小規模電力網)/オフグリッド(電力自給)事業者
4,電気自動車(EV)充電ソフトウエア
5,農業インテリジェンス
だということで、見せかけの脱炭素、グリーンウォッシュ満載といったところでしょう。
こういった間違いはそもそも「化石燃料の使用を削減しましょう」で済ませれば良かっただけのところで、二酸化炭素温暖化ということを持ち出したため、「空気中から二酸化炭素を減らす」といったエネルギーや資材の無駄遣い技術の侵入を促してしまったことから起こっています。
今更路線変更もできないということでしょうか、間違いがどんどんと大きくなっていきます。
まず、1,グリーン水素から。
間違えている人が多いですが、水素はエネルギー源ではありません。
地中にはフリーの水素が眠っているなどと言う珍学説もありますが、たとえその事実があったとしても簡単に採掘できなければ何の意味もありません。
つまり必ず何らかのエネルギーを使って作らなければならないのが水素だということです。
しかしそういった水素にも取り柄があり、ガソリンなどの燃料のように持ち運べるという利点があります。
そのため、水素はエネルギーキャリアと呼ばれます。
ただし、取り柄というのもそれだけで、後はエネルギーのロスが多すぎて効率的ではありません。
現状では天然ガスや石油から化学反応で取り出すのが最もコストが安い水素製造法ですが、さすがにそれでは脱炭素とは言えないだろうという最低限の理性が働いたのか、「グリーン電力で水を電気分解する」というグリーン水素というものをひねり出しました。
確かにそれで一見化石燃料使用をしないかのように見えますが、そんな非効率な方法ではほとんど実用性はありません。
ただでさえ高いグリーン電力でさらに反応ロスの大きい水電気分解などをしていればどれほどのコストがかかるのか。
そして実は「経済コストがかかる」ということは「エネルギーも非常に無駄に使っている」ということを示しています。
つまり、こんなものは貴重なエネルギーを浪費するだけだということです。
二酸化炭素だけを悪者にしようとするとこんな詐欺まがい技術が入り込んできます。
何をどうやって進めようとしているのか、ネット上に開発企業の説明がありました。
川崎重工も取り組んでいるとありますが、これはスタートアップ企業のようです。
吸着剤を用いて二酸化炭素回収装置を作り、そこにファンで空気を送り込んで二酸化炭素を高濃度で濃縮してから地中に送り込むということのようです。
この記事中に解決すべき技術的課題として挙げられているのが、
- ファンの駆動や、吸着剤を加熱してCO2を分離する際のエネルギー消費が大きい
- 吸着材の生産に必要な費用やエネルギー消費が大きい
- 回収したCO2を貯蔵する際に、吸着剤などの化学物質により周囲の環境が汚染されるリスクがある
ということだそうです。
吸着剤の問題、使用エネルギーが多いことなどまあほとんど実用化の見込みは無いということでしょう。
しかしこんな夢の技術(決して誉めているわけではありません)でも時流に乗っていれば開発費がどこからか迷い込んできます。
それで研究員が仕事ができるというのが最大のメリット、つまりほとんど社会的にメリットがないということです。
他の3つもなぜこのようなところに顔を出すのか分からないような小者です。
確かに部分的な改良にはなるのでしょうが、それが科学技術を変えるなどと言うことはあり得ないような話です。
特に農業は大問題だということは皆うすうすは感じているのでしょうが、それに対して持ち出すには恥ずかしくなるようなものです。
衛星やドローンを使ってとありますが、そのような金を使って農業生産のプラスになるようなことができるのか。
結局はおもちゃを使った道楽に過ぎないものでしょう。
結局は方向違い、研究費詐欺、大したこともできない小者ぞろいと全く期待外れの「期待の5分野」のようです。