韓国で大学学長などを務めた李鐘恒さんの著書を1989年に翻訳したものです。
当時、すでに古田武彦氏の九州王朝論は発表されていましたが、それと似た内容ではあるものの細部は異なるもので、独自に編み出されたものであるようです。
主張の概要は、新羅と争っていた倭人というのは日本の倭人ではなく同族でその当時は韓国南部の伽耶に住んでいた人たちというものです。そして、伽耶の方が元々の本拠地であったというものです。
本書の最後に古田氏の解説もありますが、その点が古田説と異なっており、伽耶が本拠だったとしてもすでに倭奴国に金印が授けられた時点ではそちらが主になっていたはずで、その後も韓半島が主ということはいえないというものです。
なお、その説の根拠というのがどういうものから導き出されたかという説明がすこし曖昧のように見えます。