爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

ミャンマー情勢はますます悪化の一途。どこまで続くのか。

ミャンマーではクーデターに対する抗議デモが続いていますが、それに対しての軍隊や警察の弾圧はさらに凶暴化を強め無差別の銃撃が加えられているようです。

news.yahoo.co.jp他の国でのようにデモが凶暴化して破壊活動を行なうということでもないようです。

国軍の凶悪さが明らかになっています。

 

諸国の対応も、強力な制裁というものを求める国と、それに応じない中国とロシアという構図ができており、効果のある措置ができないようです。

 

しかし、上官の命ずるままに市民に発砲している兵士たちも、その先に居るのが自分たちの家族や親せき、知人たちであることを忘れているのでしょうか。

このような命令にいつまでも従い続けることは無いと信じたいものです。

「読破できない難解な本がわかる本」富増章成著

著者の名前やその本の存在自体は分かっていても、ほとんどの人が読んだことがないという本があります。

人類の精神史上、重要な存在であることは分かるのですが、その内容は難解で素人には歯が立たないというものです。

 

この本はそういった「難解な本」をごくごくコンパクトにまとめたものですが、それでもその解説を見てもほとんど分からないというものが多いようです。

 

この本を書いた富増さんという方は、予備校で歴史や倫理などを教えているということですが、大学では哲学科、その後神学科で学んだという、哲学や宗教について詳しいということで、おそらくここで紹介されている難解本も原典を読まれているということでしょう。

 

扱われているものは、宗教、哲学、政治、経済などの歴史的なキーともなるような本で、現在のそれぞれの分野はそれらの存在の元に発展してきているようなものなのですが、とはいえ、誰でもそれらの原典を読むことは難しく、またそれを読む必要もたいていの場合は無いと言っても良いでしょう。

 

それでも、ちらっとその雰囲気だけでも覗いてみる程度のことはしてみても良いのかもしれません。

 

60冊の本が紹介されていますが、そのいくつかを「題名だけ」でも並べてみましょう。

 

プラトンソクラテスの弁明」、アリストテレス形而上学」、「般若心経」

ベーコン「ノブム・オルガヌム」、カント「実践理性批判」、ヘーゲル「歴史哲学講義」

キルケゴール死に至る病」、ニーチェツァラトゥストラはこう言った」、ハイデガー存在と時間

ホッブスリヴァイアサン」、マキャベリ君主論」、ルソー「社会契約論」

アダムスミス「国富論」、マルサス人口論

 

ほら、何となく名前だけは聞いたことがあるでしょう。

 

ちなみに、私はこの本で紹介されている本の中で読んだことがあったのが「君主論」と「21世紀の資本」だけでした。

 

読破できない難解な本がわかる本

読破できない難解な本がわかる本

  • 作者:富増章成
  • 発売日: 2019/03/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

「法人税増税」というバイデンの発言はやはり実現不可能か。

200兆円にもなるという、コロナウイルス感染対応費用の捻出のために法人税増税するというバイデン大統領の発言には半信半疑でしたが、やはり言葉だけだったようです。

jp.reuters.co

記事中には「インフラ投資計画の財源」とあり、完全なコロナ対策だけというわけでもないようですが、このために連邦法人税率が現状21%のところを28%にアップするという増税案を打ち出したものの、結局はせいぜい25%に落ち着くとか。

 

それでも5000億ドル程度の増収にはなるようですが、財源としてはまったく足らず、他の方法を考えなければならないようです。

 

しかし、税率だけ上げたとしても元々税金を納めていない大企業が多数あり、アマゾンもその一つだとか。

そのアマゾンのCEOのジェフ・ベゾス法人税引き上げに賛成だと述べているそうですが、払っていないのなら関係ないということですか。

 

やはり、アメリカも国債の大量発行、日本への押し付けというところに落ち着くのでは。(もう中国は買ってくれないでしょうから)

 

横浜の巨大風力発電施設「もとを取れるなどとは思っていません」という正直なお言葉。

横浜市の港近くに巨大な風力発電設備があるそうですが、その見学会があったという記事です。

kaden.watch.impress.co.jp「ハマウィング」と言うそうですが、高さ180mの巨大なもので、横浜周辺の人ならだれでも見たことがありそうなところだということです。

 

これは、横浜市が運営するということですが、年間210万kwhで「860世帯分」の電力をまかなうということです。

それだけかよと思わざるを得ません。

 

見学会での職員の説明と言うものが載っています。

 

風力発電は平均風速が6m/秒以上あって初めて採算がとれるもので、都心では、そこまでの風がありません。横浜市内は比較的風が吹く場所ではあるものの、瑞穂ふ頭だと5m/秒程度であるため、最初から採算が取れないことはわかっていました。それでも横浜のシンボルにしたい、という思いで作ったものなのです」

 

なんと、初めから採算が取れるとは思わず、”横浜のシンボルにしたい”という思いだけで作ったという衝撃の告白?です。

 

何のシンボルでしょう。頭空っぽであるというシンボルでしょうか。

 

なお、完成したのは2006年、もう15年も前なので、今では世界的な需要増と技術革新で建設費も相当下がっているはずという、まったく根拠のないことが述べられています。

 

スケールアップの効果が得られるのは巨大工場生産などの集約効果が期待されるところだけであり、このような個別の建設工事ではそれは無理でしょう。

 

さらに、発電電力の売電では売り上げが十分望めないので、「水素を作って燃料電池フォークリフトの燃料とする実証実験を行う」だとか。

あちこちにエネルギーの形を変えながら行ったり来たり、そのうちに元も子もなくなるということが「実証」されるでしょう。

 

なお、この記事中で言われている「コストが合わない」というのはあくまでも金銭的なコストの意味でしょう。

もっとシビアな「エネルギーコスト」を考えれば、入力エネルギーの何割が得られるか。

ほとんど期待もできないものでしょう。

 

このような馬鹿な実例を詳しく紹介してもらうと、良い参考にはなります。

 

ワクチン接種はまだ当分先のよう。

月一回の診察と投薬のためにかかりつけの医院に行ってきました。

患者も少なく先生も暇そうだったのでワクチン接種の見通しなど尋ねてみました。

 

熊本県南の田舎町ですが、医療従事者の接種もまだ進んでいないそうですが、高齢者施設入居者に対しての申込書送付は始まったそうです。

しかし、ワクチンの供給数がまだかなり限られているので、一般高齢者への申込書は当分先になりそうです。

それでも都会に比べれば供給率は高いようです。

 

ついでに、国民保険加入者への健康診断について、なかなか連絡が来ないということも聞いてみました。

例年であれば5月くらいの実施で診断表などは4月には送ってくるはずですが、どうもその担当部署がワクチン接種も担当ということで、大混乱しているそうです。

 

これは、そちらもいつになるか分からず、ワクチンもいつになることか。

 

どうもまだしばらくは動きが取れないようです。

 

「ユーモアのレッスン」外山滋比古著

英文学者ですがエッセイなども多く書かれていた外山さんの「ユーモア」について語られたエッセイです。

 

最初には「ユーモア」という言葉についてというところから入っています。

 

英語では「ヒューマー」に近い発音です。

humour という綴りですので、そう発音するのには不思議はないようです。

日本語でこれを「ユーモア」と読んでいるのは、してみるとフランス語あたりの「H」を発音しない言葉から入ったのではないかと考える人も居たようです。

 

ところが、どうやら英語でも語頭の「H」を発音しない時代があったようで、その頃は「ユーマー」に近い音だったようで、それをそのまま取り入れた日本人が「ユーモア」と読んだということだそうです。

それは意外に新しい時代のことで、オックスフォード・イングリッシュ・ディクショナリー(OED)によれば「humourの始めのhを発音するようになったのは最近のことだ」ということで、20世紀初頭のようです。

 

そして、それを補強するのが「ユーモアはイギリス風である」という事実です。

イギリスの歴史家トレヴェリアンによれば、イギリスは14世紀頃から「アイランド・フォーム」という独自の文化を持つようになった。

そしてユーモアというものもその閉鎖的な文化で熟成した言葉から生まれていったということです。

フランスなど大陸的文化のところではそのような言葉の成熟が遅れたためにユーモアの発生も遅れたとしていますが、これは英文学者の外山さんならではの考えかもしれません。

 

「ユーモアさまざま」と題した第2部ではイギリスやアメリカ、そして日本でのユーモアの実例が紹介されています。

 

日本でもユーモア感覚たっぷりの文学が数多く発表されました。

ただし、そこには裏側におびただしい量の関連知識が隠れているために、それが通じない外国人や、その関連が意識されなくなった後世にはもはやそのユーモア感が理解できないということになるようです。

 

川柳の柳多留に、”厳寒に 酒あたためて 紅葉鍋” という句があります。

これを最近の某文学者が解説するに、「紅葉鍋」のことばかり説明していますが、これがシカの肉の鍋であるということばかり解説されてもちっとも面白さが伝わらない。

 

この句は、白居易漢詩「林間に酒を暖めて紅葉を焼く」をもとにしたパロディであるということが忘れられてしまえば、その面白さも半減します。

「ユーモアは国境を越えない」「ユーモアは時代の境界を越えない」と言う人も居るようですが、それがこの「教養の境界」によるものだそうです。

 

ユーモアを楽しむということはかなり高等なことのようです。

 

ユーモアのレッスン (中公新書)

ユーモアのレッスン (中公新書)

 

 

田中宇さん「国際ニュース解説」より、「対米従属は間抜けな戦略」か

田中宇さんの「国際ニュース解説」の要約の中の一文です。

このニュースは有料記事ですので、最初の要約部分しか読めませんが、その中の一節が面白いものでした。

(この後どのような文章の展開になるのか、有料会員になっていませんので分かりませんが)

 

米国側が自滅する米中分離
 【2021年4月7日】日独など同盟諸国は米国が世界を単一で自由な市場として維持したので対米従属してきた。米国が世界経済を米中に二分し、同盟諸国は儲からなくなった。対米自立して中立を宣言すれば中露側でも経済活動できるが、米国は同盟離脱による対米自立を許さない。冷戦時代は米国側が発展してソ連側は停滞したので対米従属が儲かった。今後の米中新冷戦は逆に米国側が停滞して中国側が発展する。対米従属は間抜けな戦略になった。

 

中国が台頭しアメリカと正面から対抗するようになりましたが、これでまだアメリカについていくと「間抜けな戦略」になるということです。

 

ソ連の冷戦時代にはアメリカが圧倒的に経済発展しましたので、対米従属も儲かるものだったのが、この先の米中新冷戦時代には逆になるということです。

 

田中さんはこれまでもアメリカの覇権は揺らぎ(というか、自ら覇権を手放し)多極化が進むと主張していますが、その中でも勢力争いは止まず小競り合いは続くということでしょう。

そこにアメリカに一途についていくだけで良いのかどうか。

大統領就任後に一番に会えるなどと言って浮かれている場合ではないのでしょう。

 

ただし、中国が自立した経済運営ができるのかどうか、それも危ういもののようにも思いますが。