行動経済学といえば、以前に池田新介さんの「双曲割引」に関する本を読みました。
sohujojo.hatenablog.com経済学というよりは、心理学的な要素が強いという印象を持ちました。
今回読んだ依田さんの本は、その名も「行動経済学」。この分野の概観を示すものとなっています。
行動経済学は主流派の経済学と比べるとはるかに新しく成立しました。
そのため、初期には主流派からはかなり異端視され、批判されていたのですが、その後は様々な方向に伸びていきかえって経済学の中では大きな面積を占めるまでになっているようです。
本書では時間選好、危険選好、社会選好という行動経済学の中でも主要と思われる分野の説明、アディクションやゲーム理論といったものも解説され、広く行動経済学を見回すには良いものとなっているようです。
ただし、それぞれの説明は限られているので、詳しいことの理解には専門書が必要かもしれません。
エピソードを一つ紹介しておきます。
時間選好率というのは、目の前の現金1万円と1年後の1万1000円のどちらを選ぶかということで、この率が高いというと目前の現金に惹かれやすいということを示します。
また、危険回避度とはリスクを回避しようとする行動の度合を占めします。
喫煙と言う行動は、ほぼ将来に健康被害をもたらすということが確定しており、大きなリスクを持っているのは明らかなのですが、それをやめられない喫煙者と言う人々がまだまだたくさん存在します。
これを指標に調査した所、次のことが明らかになりました。
喫煙者の方が、非喫煙者よりも時間選効率が高く、危険愛好的である。
喫煙者のなかでは、高度喫煙者が一番時間選効率が高く、危険愛好的である。
非喫煙者の中では、過去に喫煙経験したものが生涯非喫煙者よりも時間選効率が低く、危険回避的である。
まあ、当然か。