内田樹さんが自身のブログに載せたもので、元は蛍雪時代用の原稿のようです。
blog.tatsuru.com蛍雪時代といえば大学入試を受ける年代の人たち向けの雑誌で、その人たちを対象にして書かれているのでしょう。
相手も十分に世界情勢は考えられるだけの知識と思考力には達している人が多いはずです。
そのため、内田さんの文章もかなり高度なものになっているようです。
世界は迷走しているというのが現代世界の見立てということでしょうか。
それでも徐々にですが、進歩していないわけではない。
今はさすがに世界のどこの政府も民族差別や性差別や拷問や人権侵害や奴隷制度を「公然と」行うことはなくなりました(何か別の「大義名分」を掲げてやります)。それだけ「世間の目を気にする」ようにはなっているということです。
公然とできなくなっただけでも少しは進歩、しかし隠れてやってはいます。
それでもアメリカの状況は退化としか言えないもののようです。
アメリカ・ファーストと言って、世界の指導者たる地位を自ら捨てようとしています。
ただし、これはアメリカだからこその話であり、他の国々ははじめから世界を指導する立場にもなく、日本などは恥ずかしい政治をそのまま続けていますが。
某政党代表の方と内田さんとがオンライン対談し、「これからどうしたらよいでしょう」と聞かれたので(それを聞くのもちょっと恥ずかしいでしょう)、一気に流れを変えるような奇手を取ろうとはしないことと答えたそうです。
それが本文章の題「これだけは確かなもの」につながります。
これだけは確かなものというものだけを少しずつやっていくこと。
それが政治を立て直すことにもなるのでしょう。