我が家で購読している熊本日日新聞には政治経済の問題点について(本当の)有識者がまとまって解説をするコーナーがあります。
そこに経済ジャーナリストの荻原博子さんが書いていたのが「政治には臨機応変」というものでした。
kumanichi.comこの文章全体を読むには有料会員資格が必要なようなので、ざっくりと内容を紹介します。
能登半島地震の甚大な被害に復興どころか犠牲者捜索すら追いついていない状況で、大阪万博の開催是非を問う声も大きくなっているのですが、それに対し大阪の吉村知事は「万博開催と復興支援は二者択一ではない」と発言しどちらも行うという姿勢を見せているそうです。
しかし荻原さんの見るところ、これはまさに「二者択一」であり、大阪万博開催のための2000億円もの費用はすぐさま地震復興に充てるべきとしています。
ところが吉村知事だけでなく岸田首相にもそのような考えは全く無いようです。
それが「一度決めたら途中でやめられないというメンツのようなものが先行し、現状を踏まえた合理的な見直しができなくなっている」からだということです。
同様の姿勢は沖縄の辺野古への基地移転でも見られ、一度決めた以上はそれ以外の選択肢はないとばかりに強硬姿勢ばかりです。
この基地についてはアメリカの政府監査院(GAO)が基地のキャパシティーが小さすぎて海兵隊の作戦や訓練が十分にできないと3度も指摘しているということです。
インボイス制度もそうですし、紙の保険証廃止の件もそうです。
いろいろな問題点が社会のあちこちから指摘されても、一度決まった以上はやらないという選択肢はないかのようです。
臨機応変という態度が全く見られない日本の政治家に対し、ドイツのメルケル前首相はコロナ禍という事態に対してそれまでの姿勢をすぐに変えて事に当たりました。
その態度こそが信頼を集めました。
こういった荻原さんの指摘ですが、まさにその通りでしょう。
政治家のみならず行政の官僚も決めたことをやらずに方向転換ということを極端に嫌がるということは国政から自治体まで常にみられる態度です。
しかし状況というものが激しく変わる現代で何年も(何十年も)前に決められたことが最良とはとても言えないというのはもはや当然すぎるものでしょう。
それができない連中にはもう偉そうな顔をして座っていてほしくないものです。