内田樹さんの「研究室」では、月刊日本という雑誌?からの取材のインタビューで答えたものを掲載されていました。
何でも、本に収められたものは編集されたものだということで、自分で記録していたロングバージョンの方を披露するということです。
その内容は「中国はこれからどうなるのか?」
まず述べられているのは、現在の習近平体制が思ったほど盤石ではないということです。
中国古代からの伝統的な政治姿勢で、「王道」と「覇道」というものがあり、まあ言ってみれば力で押さえつける覇道に対して徳治を重んじる王道というところですが、内田さんも覇道路線丸出しだったアメリカに取って代わるには中国は王道を歩むべきと思っていたのが、香港や新疆ウイグルで力で押さえつける態度を取っていることを注目しています。
そして、これは習近平体制が安定とは程遠いからではないかという分析をしています。
次いで、中国の今後の課題です。
中国の一番の弱点が人口動態です。
「一人っ子政策」はかつての中国の弱体な基盤を何とか立て直すために絶対に必要なものだったのですが、ここに来てその負の影響が噴出することになりました。
これから急激に高齢化が進み、生産年齢は減っていきます。
しかも、一人っ子政策実施中には女児を堕胎し男児だけを産んだという現象が起きたために、圧倒的に男子人口が多い、ということは結婚もできない男性が非常に多いということです。
そのため、少子化現象は人口動態以上に激しく起きるということです。
中国は年金制度などはほとんど機能しておらず、これまでは家族での扶助のみだったのですが、頼るべき家族も居ない独身高齢者がどんどんと増加するということです。
さらに中国の国際戦略についても話が進んでいます。
中国では伝統的に「西」重視、「東」は無視または軽視という態度を取ってきました。
それは現在でも同様で、中央アジアに関心が向き、東の海側はそれほど気にしていないとか。
尖閣諸島をめぐって強硬姿勢を取っているように見えますが、それは日本に合わせているだけでそれほど重要視していないということです。
なお、日本がアメリカとの同盟重視で中国への姿勢を決めているのは、危険なことだということです。
韓国、台湾、香港、そしてASEAN諸国との連携を深めて対中国の連携を取っていくことが必要だとしています。
最後に内田さんは「漢字文化圏の再構築が東アジアに平和と安定をもたらすと思っているがなかなか共感してくれる人がいない」と書いていますが、私は共感します。