地球は、太陽系は、宇宙はどのようにできているのか。
それは長年の科学者たちの研究で徐々に明らかになってきています。
そういった宇宙地球科学の基礎知識をその全般にわたって網羅し最低限のものが得られるように書かれた本です。
なお、当然ながら数式の記述も非常に多いもので、ある程度の数学、物理学の知識が必要となるようです。
おそらくは理科系の大学生以上が対象かと思います。
私の場合、地球科学には興味があり火山や地震の発生原因などは知りたいという思いが強いのですが、宇宙のことについてはそこまで興味が続かず、本書でもその部分は少し難しすぎると感じてしまいました。
まあそんな読み方でも良いのでしょう。
なお、著者の御二方の専門分野が少し違うのか、第1部宇宙天文編は佐藤さん、第2部地球太陽系編は綱川さんの執筆と分けられていました。
宇宙全体の元素の割合というものが分るそうです。
星のスペクトルというものを分析していきそれを総計することで出てきます。
それによると存在する元素のほとんどは水素とヘリウムだそうです。
質量比で水素が71%、ヘリウムが27%、この2つだけで98%を占めます。
水素が宇宙の誕生の初期に合成され、次いでヘリウムということでした。
太陽系には惑星が8個ありますが、その特徴から3種類に分類されます。
水星から火星までの4つは岩石が主体の地球型(岩石)惑星。
そして天王星を海王星は氷でできた海王星型(巨大水)惑星だそうです。
まあ知らなかったのが迂闊なのですが、何となく惑星もどれも岩石でできているのかと思っていましたが、木星は中心に氷と岩石からなるコアが少しだけあって、そのまわりを金属水素、液体水素、そして水素とヘリウムの大気が取り巻いているそうです。
月は常に地球に同じ面を向けていますが、これは月の公転周期と自転周期が等しいからです。
この原因は地球から月が分離した時の動きから来るものだと思っていましたが、実は衛星が母惑星から受ける潮汐力のためだということです。
他にも火星のフォボス・ダイモス、木星のガリレオ、土星のタイタン、天王星のチタニア、海王星のトリトンと、太陽系の衛星のほとんどはこの同期回転をしています。
そしてフォボスとトリトンは母惑星の潮汐力のためにやがて母惑星に落下するそうです。
なかなか良い勉強になりました。