爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「誰も知らない 世界のことわざ」エラ・フランシス・サンダース著

短い言葉で人生に役立つことを伝えてくれる「ことわざ」というものは日本には数多くありますが、それは世界各国でも同様のようです。

ただし、国により表し方にはかなり大きな差があるのは当然でしょう。

そのような世界各国のことわざというものを取り上げています。

なお、日本ではことわざとまでは言わないような短い言い表し方も含んでいますが、本書の原題は「The Illustrated Book of Sayings」で、「Saying」はことわざという意味もあるようですが、金言・格言・言い回しといった意味も含む言い方ということです。

 

著者のサンダースさんはライター兼イラストレーターということで、本書のイラストもみな書いているようです。

その絵もなかなか魅力のあるものとなっています。

 

取り上げられたことわざは原語とイラストが描かれ、そこに原書ではおそらく英語の対訳がつけられていたのでしょうが、この訳書では日本語で意味が書かれています。

 

50ほどのものがあげられていますが、日本のことわざとしては「サルも木から落ちる」と「猫をかぶる」でした。

イラストでは何匹ものサルが木から落ちています。

猫をかぶるのイラストでは、人が帽子のように猫を頭に乗せているものでした。

 

スウェーデン語から取り上げられたのは「エビサンドにのって滑っていく」

なんのことかよくわからないものですが、英語で言えば「銀のさじをくわえて生まれてきた」すなわち富裕な家に生まれた金持ちといった意味だそうです。

スウェーデンでは特権階級はエビサンドが食べ放題らしく、それが金持ちの象徴のようにもなっているとか。

 

南米コロンビアのものでは「郵便配達員の靴下のように飲み込まれる」です。

これもなんのことかさっぱりわかりません。

この意味は「猛烈に愛している」だそうです。

郵便配達員は毎日長い距離を歩いているため、靴下を履いていても徐々につま先のあたりがぐしゃぐしゃになってブーツの先に飲み込まれるようになっています。

その状態が愛情におぼれた状況のようだということなのでしょう。

 

こういった言い回しは古いものばかりでなく、新しいものもあるようです。

フランス語で紹介されている「ザワークラウトの中で自転車をこぐ」というのは、「途方に暮れた」とか「考えが支離滅裂になった」という意味なのですが、その由来はツール・ド・フランスという有名な自転車レースにあります。

このレースでは多くの参加者が脱落したり時間内に走れず、そういった人々を収容していく自動車が後ろから走っていくのですが、その車「ブルーム・ワゴン」の社内にはなぜか「ザワークラウト」の広告板が取り付けられていたのだとか。

 

なかなか楽しい本でした。