リスク学者の永井孝志さんがいろいろなリスクにまつわる話を書くブログはいつも参考にさせて頂いていますが、今回はあの「BMI値」についての話です。
私も若いころから太り勝ちな体質で、身長は167㎝ですが体重は一番太っていた頃は80㎏近くあり、BMI(体重㎏÷身長mの二乗)はその当時では28と完全に肥満でした。
今は体重70㎏弱で推移していて、BMIは25とぎりぎりの線です。
ただし、このBMIという値にはいろいろと問題がありそうです。
永井さんの文章でまず出ているのが、「アメリカでは肥満者への差別が問題化されている」という話です。
確かに肥満は健康への影響が大きいのですが、ただし肥満するかどうかは遺伝的な要素が非常に強く、それを非難することは人種差別と同様だということでしょう。
とはいえ、他者の肥満をあげつらうのは問題かもしれませんが、自分はなるべく肥満でない方が健康には良いのは間違いありません。
BMIという値の考え方の始まりはなんと200年も前のことでした。
ベルギーの数学者・統計学者・社会学者であったアドルフ・ケトレーという人が提唱したそうです。
体重を身長の二乗で割った数値が「平均的な人間」をよく表していると考えました。
その後、人の健康に影響を与えるのは体脂肪率であることが分かってきたのですが、それは簡単に測定できず、それに代替できる指標としてBMIが使えるとされてきました。
ただし、問題点は多く、まずそれが西ヨーロッパの白人男性で測定されたデータを基としているため、他の人種の人々にうまく適応しないこと。
年齢差も考慮されていないこと、さらに身長と体重しか用いていないので個人による脂肪率の差が反映されていないことなどがあります。
なお体脂肪率といっても問題となるのは内臓脂肪ですが、それと皮下脂肪の量を調べることはやはり簡単ではないようです。
つまり、あまりにもおおざっぱ過ぎてBMIだけでは個人の健康状態の判断などは難しいということです。
そのため、今の健康診断ではあの腹囲測定などといういやらしいものが出てきました。
しかし標準体重と言われるものもそれほど大掛かりな調査で決められたものではなく、1955年に調査された松木の標準体重と言われるものや、その後1985年に生命保険会社のまとめたデータなどが参照されているようです。
そんな程度の話であれほど健康診断結果の説明でいじめられなければならなかったのでしょうか。
恨みつらみは数々ありますが。
永井さんのブログはまだ続きがありそうです。