爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「人工メタン」こんなもの本当にできると思っているのか。

大阪ガスENEOSが共同でプラントを立ち上げるという、「人工メタン製造」

いろいろなメディアで報道されていますが、あまりにもあほらしいので無視しようと思っていたものの、数が多すぎるので一応触れておきます。

trafficnews.jpメタンはガス状の燃料として広く使われていますが、今はもちろん化石燃料からの変換で割安で作られています。

それを「水素と二酸化炭素を反応させて作る」ということです。

 

製造工程というのが次の通り。

まず海外において再生可能エネルギー等で製造したグリーン水素を、水素キャリア(水素ガスを扱いやすい物質に変換したもの)の一種であるメチルシクロヘキサン(MCH。水素+トルエン)に変換して輸送。そこから水素を取り出し、国内で回収した二酸化炭素と組み合わせてe-メタンを製造します。

 

実現するには大きなハードルだらけで、まるで10m以上もあるハードルを越える110m障害競走のようなものです。

上記ニュースの表題には「水素輸送がカギ」などと書いてありますが、言ってみれば「すべてがカギだらけ」のようなものです。

 

まず、「再生可能エネルギーで製造したグリーン水素」などと言うものが本当にできるのか。

おそらく風力発電などの電力(本当に”再生”しているのかも怪しい)で水を電気分解して水素を取り出すというのですが、これも競争力のあるコストでできたという話はありません。

その水素を「水素キャリアであるメチルシクロヘキサンに変換して輸送、そこから水素を取り出す」というのですが、このような余計な工程をいくつも経ることによる収率の悪化も無視。

さらに「国内で回収した二酸化炭素」もただで手に入るわけではありません。

これにも非常に高いコストがかかります。

 

結局は大阪ガスENEOSという化石燃料で持っているような企業が、脱炭素化へ向けて努力はしていますよというポーズでしかありません。

そのポーズ料は非常に高価なものにつくと思いますが。