IARC(国際がん研究機関)でアスパルテームの発がん性の分類を2Bにしたということが大きく報道されましたが、それについてFOOCOMNETで森田満樹さんが畝山千賀子さんにインタビューした記事が掲載されました。
畝山さんは国立医薬品食品衛生研究所の安全情報部長で、これまでにも食品安全について多くの著書を書かれている方です。
著書でも感じますが、このインタビューでもはっきりと物を言われる方だということが分かります。
まず、IARCとJECFA(WHO/FAO合同食品添加物専門家会議)の見解が異なる件について。
どちらもWHOの下部組織ですが、IARCが上記のようにアスパルテームの発がん性分類をグループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)としたのに対し、JECFAはアスパルテームのADI(許容一日摂取量)は変わらないと公表しました。
つまりその限度量以下であれば安全だと言ったわけです。
なお、そのADIは体重1㎏あたり40㎎、つまり体重60㎏の人は1日2.4g食べ続けても問題ないということです。
これはIARCが発がんのハザードを発表したのに対し、JECFAは発がんリスクを評価したためです。
そもそも、IARCという組織は化合物などの発がん性が問題となりだした1970年代にその発がん性のハザードについて調べる「モノグラフ計画」というものを実施するために作られました。
当時は発がん物質というものが次々と見つかり問題化していたためですが、ここで発がん性の疑いのある物質を排除していけば癌が無くなるという期待が持たれました。
しかしその後の研究で発がん性はかなり広い範囲の物質にあり(自然の食品中にも数多く存在)それが存在するというだけではなくその存在量や曝露可能性まで詳しく調べなければ発がん性については評価できないということが分かってきており、IARCのモノグラフ計画の続行自体にも議論が及んでいます。
そのためという訳でもないのでしょうが、このところIARCの公表の仕方がおかしいという話です。
除草剤のグリホサートも多くの調査で問題ないと言われていたのにIARCがグループ2Bと公表したことで大騒ぎとなり、アメリカではそのせいで癌になったとして多くの人が訴訟を起こすと言ったことになっています。
アメリカでは陪審員制度のため裁判のやり方次第では科学的な根拠は無視される判決が出されることもあります。
もしかしてアスパルテームもそういった騒ぎを狙って出されたのか。
IARCのメンバーの中にもそういった活動を行なうメンバーが入っており、その疑いもあるそうです。
IARCのやっているハザード調査という手法にはもはや時代遅れという指摘もされているそうですが、まだまだその影響力は大きいようです。
さすが畝山さん、分かりやすい解説でした。