「先進国だけの脱炭素がもたらす独裁者の勝利」という題名の記事があったので、もしかしたらと思ったらやはり杉山大志さんが書いたものでした。
agora-web.jpキャノングローバル戦略研究所の杉山さんは脱炭素化と称して一方向に何も考えずに走っているような社会情勢について批判をしていますが、その多くは非常に納得できる議論となっています。
この記事は杉山さんオリジナルのものではなく、ルパート・ダーウォールという人がIEAの脱炭素シナリオを批判した論文を紹介するものです。
脱炭素化などといって世界中が取り組んでいるかのように言われていますが、実際には先進国だけでありその他の国々は形だけで実質はないということです。
そのような状況が進むとどうなるか。
石油生産はOPECに集中してしまい、多くが独裁国家の彼らを利するだけです。
さらにPV・風力・EVには非常に多量の金属資源が必要となりますが、これらの大半を供給しているのは中国であり、これらは中国を富ませるだけになるというのも当然です。
結局はヨーロッパや日本などがどんどんと国力を落としていき、中国をはじめとする国々が勢いを増すばかりということでしょう。
杉山さんは触れていませんが、それに加えて工業生産の移動も起きるでしょう。
電力コストが増大する脱炭素化で欧日の生産品はコストがさらに高まりますが、実は安価な石炭火力などをやっている中国をはじめとする国々はコスト安から競争力が増してきます。
それを止めるためには強制力がなければできませんが、欧日には何もできないでしょう。
そしてアメリカがどちらの肩を持つかも分かりません。
今のような脱炭素化という方向は特に中国やインドなどへの覇権シフトをもたらすものと思います。