熊本日日新聞の「くまにち論壇」で東京大学大学院准教授の古田徹也さんが教員の質について書いていました。
おそらくこの記事はネット上から会員以外の人が見ることは難しいと思いますので、内容を少し詳しく引用したいと思います。
教育現場での教員の数が不足という事態が深刻化していますが、それに対して各地で対策を取ろうとしているものの、それらはすべて教員資格をレベル低下させたり、採用条件を緩和したりという、教員の質を下げてでも数を増やそうというものになっているということです。
教員免許の更新制が廃止されたほか、教員免許なしでも教壇に立てる制度を作ったり、教員免許取得をやりやすくしたりという対策が取られています。
古田さんは東大の前には新潟大で教育学部に勤めていたそうですが、その折に教育実習生の状況を視察するという業務もあったそうです。
そこでは実習先の生徒から実習生に対して多くの質問がされるのですが、それらに答えることができない場合が多いとか。
教員を目指す学生たちの知識不足というものが深刻だということです。
その分野の教師を目指すということで、もっと勉強をしなければならないところ、それに十分な時間をかけることができていない。
それは教育学部学生だけでなく、すでに教師になった人々でも同様です。
しかし現役教員が多すぎる業務に押しつぶされるような長時間労働というのも知れ渡っており、とても専門分野の知識を増すなどと言うことは不可能でしょう。
教員不足対策ということで教員資格の緩和といったことに走るのは何か違うということです。
実はこの日の新聞紙面の数ページ後には「ホームヘルパーの人材難」という記事があり、これもホームヘルパー制度実施以降その待遇は見直しどころか下がり続けており新規就業者がほとんど途絶えているということが載っています。
教員と同様、就労者を集めるには待遇改善が不可欠という問題なのでしょう。
政府の金の使い道の選択が誤っているからこうなるということがよく表れています。