爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「『おネエことば』論」クレア・マリィ著

おネエことばと言えば、テレビにたくさん出演しているいわゆる「おネエキャラ」と呼ばれる人々が話すことばのことでしょう。

少し前まではゲテモノ?扱いだったような気もしますが、今では立派に市民権を得たようで様々な分野で活躍されています。

そういった人たちが話す言葉は事情をよく知らない者から見ればどれも似たように聞こえます。

 

ただし、本書はそういった風潮に乗っかり手軽にそれに切り込んで分かりやすくウケ狙いで書かれたわけではなさそうです。

そのような感覚で読みだすとまったく違うことにすぐに気が付き、それ以上読む気は起らないでしょう。

本書の内容は極めて学術的、題材としてテレビ番組や出版物を使ってはいても、その手法は日本語学や社会学の研究そのもののようで、生半可な読者はすぐに拒絶されるようです。

私は図書館で借りてきた本だから良かったのですが、大枚2000円(税別)を支払って購入された人がもしも居たらお気の毒です。

 

おネエことばというものがいつ頃から世に出たのか。

そもそも「おんなことば」というもの自体、自然発生したものではなく人為的に作られたものだということですが、おネエことばはさらにそれを模倣することで存在感を作り出してきたようです。

歓楽街のオカマと呼ばれる人々に使われて始まったようですが、テレビや出版物などに登場しだすのは新しく、テレビのバラエティ番組に進出できたのは2005年あたりのことのようです。

その番組の中で、キワモノ的な存在感を示す「おネエ」たちが使う言葉として「おネエことば」というものが広まっていきました。

 

そして、それらの番組では色とりどりの「テロップ」を多用することで、おネエことばをさらに利用価値を最大限に使って番組を盛り上げていきました。

 

実はテレビなどにこれらの存在を最初に広めたのは1970年代という早期のことでした。

おすぎとピーコという大きな存在感を示す二人によってその道が付けられました。

その後、2000年代になり「おネエMANS」というテレビ番組でこの傾向は最高潮に達します。

この番組は終了しますが、それでおネエキャラブームが終わるわけではなく、その後もそれぞれの分野で相当な存在感を持つ尾木ママミッツマングローブといった人々が活躍を続け、継続してブームが伸びていくこととなりました。

 

これからも当分の間はこういった傾向が続いていくものと見ています。

しかし、日本語の形としてはやはり本筋では無いと思いますが、何らかの存在価値があるからこそ続いているのでしょう。