1970年代から80年代にかけて、超能力と言うものがブームとなり、外国人の由利某とやらが大きく取り上げられ、日本人でも清田某とかの少年(その後青年から中年、高年となった)が何度もテレビ出演をするなどしていました。
最近ではあまりそういった番組もないようですが、皆目覚めたからとも言えません。
当時から、「反超能力」としてテレビにも数多く出演していたのが、本書著者の当時早稲田大学の物理学教授であった大槻義彦さんでした。
他の多くの科学者たちは超能力ブームにおそらく眉をひそめつつも何も発言しようとはしなかったのですが、大槻さんは敢然と言い続けました。
そこには、本書の中にも表れているように、「科学、特に物理学を誤用して(あるいは故意に曲解して)超能力にお墨付きを与えるかのような人々」に対しての反発が基にあったのでしょう。
超能力ブームの中では、一応どこかの大学教授とかが、「科学的に見れば」とか「これが本当なら物理学を塗り替える」といった提灯持ち発言をすることも多々ありました。
大槻さんはこういった一応学者たちの存在にも批判を加えています。
取り上げられている「超能力」は、スプーン曲げから始まり、念写や水晶パワー、チャネリングにダウジング、テレポーテーションなど、かつての思い出が蘇るような気にさせられるものばかりです。
テレポーテーションに生半可な量子力学的解釈をするなど、見た覚えがあります。
結局、ほとんどのものはできの悪いマジックであるということでした。
しかし、あのブームなるものも、振り返って後味の悪い思いが残るものでした。
超能力ははたしてあるか―科学vs.超能力 (ブルーバックス)
- 作者: 大槻義彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1993/07
- メディア: 新書
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