爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「地図と写真から見える! 京の都 歴史を歩く!」川端洋之著

平安遷都から明治になり東京に都が遷るまで、京都は日本の政治の一つの中心でした。

そこで起きた歴史的事件も非常に多いものですが、さてそれが今の京都のどこで起きたのかと考えてみると、それほど判り易いものではありません。

 

京都の盆地の中にできた都市でそれほど広いわけでもありませんので、昔の遺構が残っているかと言うと必ずしもあるわけでもなく、石碑でもあれば良い方です。

建物として残っているものもあるのですが、完全に消え失せたものも多いようです。

 

そういった歴史の舞台を見に行くためには、やはり当時の古地図と現在の地図を見比べてみるしかありません。

この本では多くの歴史事件を取り上げそれが現在の地図であればどこにあたるのか、それを地図や写真で表しています。

歴史好きでその舞台としての京都にも興味があり、実際に歩いて見て回ろうという人であればこの本一冊を持っていけば十分に理解できるかもしれません。

(ただし、現在の交通状況のガイドは必要かもしれません。)

 

本書ではまず最初に長い歴史の中でも京都で起きた7大事件を見ていきます。

それは、保元平治の乱応仁の乱本能寺の変、池田谷騒動、禁門の変坂本龍馬暗殺、鳥羽伏見の戦です。

どれも京都で起きたということは知ってはいても、それが「京都のどこか」ということははっきりと分かっていない所ばかりです。

 

さらに平安時代から時代ごとの主要な歴史の舞台も解説します。

現在「京都御所」という場所は存在しますが、それは平安京遷都の最初の頃の内裏とはまったく別の場所だということも言われてみればなるほどと思いますが、盲点でした。

中国の都の構造に従って作られた平安京は北側の中心に大内裏がおかれ、そこに天皇の暮らす禁裏が置かれたのですが、それは現在の二条城の北西側にあたり、今はほとんど何も残っていません。

 

保元平治の乱など京都の中で起きた戦も有名なものですが、その両軍の陣立てや戦いの推移を地図で見ても、ほんの小さな場所で行ったり来たりというもので国の政治の大勢を決めたというにはあまりにも小ぢんまりしたものだったようです。

 

他にも名前だけは知っていた場所が、現在のどこに当たるのか、目からウロコが落ちるといった感覚で見ることができました。

 

もしもこの後京都に観光に行くのならこの本を持っていきたいものです。

まだ当分は行けないでしょうが。

ただし、外国人の観光客が居ない今こそゆっくり見て歩くには良いかもしれません。