爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「地図で読む日本の歴史」「歴史ミステリー」倶楽部著

歴史上の出来事を年表と名前だけで見ていくと地域的な広がりが分からず感覚的につかめないことがあります。

そのためにも地図上でそれを確かめておくということは重要な事かもしれません。

しかし、教科書や参考書ではスペースの関係ですべてを地図で示すことはできず、いくつかは盲点になっているのかもしれません。

 

この本は匿名のグループの著作ということですが、おそらく明らかな間違いというものはないように見えます。

 

扱っているのは古代の日本人のルーツから太平洋戦争までと広い時代にわたっています。

 

戦争の経緯を表した地図というものは、やはり動的なものを扱いますので目で見て両軍の動きを見てくのは判り易いものです。

有名なところでは壬申の乱でしょうか。

大海人皇子が吉野に隠棲していたのに東国に逃れ挙兵して攻め上がったという、話は知ってはいるもののどういうルートかということは確かに地図で見た方が良いと言うことが一目です。

壇ノ浦の戦でも経時的に潮の流れの様子まで描かれていますので、草薙の剣が沈んだ場所というものもこの辺かということが判ります。

 

日清日露以降、太平洋戦争までの戦略も略図ながら出ていますが、もちろん専門書には及びませんが簡単に頭に入れておくにはよさそうです。

 

なお、一つ気になったのは、地形の変化は時代によってかなり大きいのではないかということです。

特に海岸線や河川・湖などは大きく変わっているということはありそうで、大阪湾もごく近い時代までかなり内陸まで入り込んでいたようですし、河川の流路は時代によって相当違うはずですが、それをどこまで反映しているのか少し疑問がありました。

 

まあ、文庫本ですのであまり厳しい要求もできませんが、簡単に頭に入れておく程度の使い方でしょうか。