スノーデン・ファイルのスノーデンとは、エドワード・スノーデンで、2013年にアメリカ国家安全保障局(NSA)の職員として知り得た情報を内部告発しました。
その内容は驚愕すべきものであり、アメリカが国内外で違法な情報収集などの行為を重ねていたというものです。
これは非常に大きな問題になると思っていましたが、アメリカをはじめ政府側はスノーデンを単なるハッカーか窃盗犯かのように意図的に軽く扱って無視することでその告発内容をも無視するように誘導し問題の拡大を防ぎました。
スノーデンは日本の横田基地内のNSAでも勤務しており、その日本関係の告発内容には日本も大いに関係するものがあることは明らかでしたが、日本政府も無視する態度を強めました。
さらにそれを問題視するべきメディア各社もまったく触れる動きも見せずに事態鎮静化を政府に協力して図ったかのようです。
こういった事態に対し、本書著者の小笠原さんは見逃すことはできず、さらにスノーデン自身へのインタビューも実施し、多くの事実を聞き出します。
冒頭に掲げられたスノーデンとのインタビューの中で彼が語った言葉「特定秘密保護法は実はアメリカがデザインしたものです」だけを見ても、そのスノーデンが発表した内容は非常に重要なものだということは分かります。
日本にあるNSAの基地は三か所ですが(三沢・横田・沖縄)、これらの建設整備には日本からの資金が使われています。
それを使ってアメリカが行っているのはアジア全域に対する情報収集と監視です。
アフガニスタンやイラクで行われていた「対テロ戦争」に使われた情報はこれらの設備を使って得られていました。
日本政府とアメリカの密約はこういったNSAの活動だけではありません。
日本政府が実施している国民監視のための機器や手法の供与もそれに含まれています。
ただしそれは無償ではなく多大なアメリカへの上納金の見返りとしてわずかずつ与えられたもののようです。
他にも数々の事例が次から次へと紹介されていますが、どんどんと気持ちが暗澹としてしまいます。
このようなアメリカべったりで奉仕するだけの日本政府で良いのか。
さらに国民の情報を大がかりに収集しそれをアメリカに提供する政府とは何なのか。
「対テロ戦争」と言えば何でもやって良いかのような雰囲気を作り出し、それで反政府活動どころか普通の市民運動まで監視の対象とし何かあればそれを使って弾圧しようと構えているのが政府の姿勢です。
それらが、スノーデン・ファイルを検証していくとどんどんと見えてくるのだということです。
この日本がどのような国になっているのか、これは一般市民をも犯罪者扱いし監視するという体制に他なりません。
さらにそれをすべてアメリカに奉仕するという姿勢の中で遂行しているのが日本政府です。
これは特に「右翼」を自負する皆さんに考えてほしいことです。
このような国が本当に「誇るに値する国」なのかどうか。