著者はカナダ出身で日本にやってきて数々のジャーナリズム活動を行い、現在は日本に帰化しているようです。
どうやら各種の「陰謀論」による著述を盛んにしているようで、まあ一般的にはゲテモノ扱いかもしれません。
しかし、この本を読む限りではかなり真実に近いものを書いているようにも感じます。
本書刊行は2014年2月です。私の読む本の中では最新に近いものですが、こういった世界情勢を扱う中では書かれている内容とはすでに世界が大きく変わってしまった部分も多いようです。
例えば、シリア内戦は天然ガスをめぐる争いにすぎない。とか、スノーデン騒動の後にブラジルのルセフ大統領がアメリカに激怒しアメリカとの軍用機購入契約を解除、アメリカの監視装置を封鎖するとか。
その後の変化は、アメリカのコスト無視のシェールガス開発によりロシアの財政は逼迫し、ブラジルのルセフ大統領は真偽不明の汚職事件で退任に追い込まれました。
こういったところに何らかの意味が感じられるというのが恐ろしいところです。
イギリスは孤立しドイツはロシアに接近するとあります。確かにEU離脱をきめてしまいました。
ドイツが本当にロシアよりになるのかどうか、それはまだ分からないようです。
ドイツは冷戦時代にソ連軍侵攻の危険性に備えてアメリカに金塊300tを預けたそうです。
その返還要求を申し出たとか。しかし、アメリカはその金塊に手を付けてしまいもう残っていないそうです。そのために、テロ集団対策としてアフリカのマリに軍事攻撃を加えているが、それはマリの産出する金を得てドイツに返還するためだそうです。
アメリカでは内戦が勃発してもおかしくない状況に近づいているということです。
アメリカ国土安全保障省(DHS)は国内用として大量の弾薬と火器、装甲車を購入したとか。
一般市民も急速かつ大量に銃を購入しています。危険性を皆が認識しているということです。
このあたり、最近も頻発している警官による黒人射殺事件が重なります。対する警官襲撃事件もまだ単発ですが、これが連続し組織的になれば内戦とも言えるかもしれません。
尖閣諸島をめぐる中国との関係でも、最近もまた日米安保条約を確認というニュースが流れていますが、アメリカには中国を抑えようという意図は一切ないとしています。
アメリカ国債の保有は日本を越えて中国が一番になっています。これを売却という動きを見せるだけでアメリカは中国に逆らえません。
そもそも、尖閣をめぐる問題もアメリカによって火付けされた疑いもあります。香港などの活動家が尖閣上陸を行なった事件でもその資金がアメリカ機関から出ていた疑惑もあるそうです。
アベノミクスは日本から金を奪うために行われているとか。年金積立運用機構の運用損失も話題になりましたが、これも本書に予告されています。
どうも、この本の内容は荒唐無稽な陰謀論で片付けるわけにはいかないように感じます。