ぼんやりテレビを見ていたら夕方のニュースワイドショーで「フィルム型太陽電池で都市全体が発電所」といった内容のものを長々と放映していました。
フィルム状でフレキシブルに曲がり、太陽光変換効率も非常に高いという太陽電池で、設置場所を選ばずわずかな光でも発電できるので、都市のあちこちに張り巡らせば大きな電力が得られるという話でした。
大学と東芝が共同で開発しているもののようで、大学教授もビデオ出演、解説をしていました。
しかし、こういった話には眉に唾を3回以上つける性質の私としては疑問だらけです。
主原料は鉛のようです。
これを都市全体に張り巡らすほど使った場合、その資源は十分でしょうか。
しかもどうせ寿命があるでしょうがその廃棄物の資源循環はできるのでしょうか。
最大の疑問点はその電池材料を塗布する「基板」です。
プラスチック製の柔らかい基板を用いるので曲げ伸ばし自由と言うことですが、「脱炭素化」で石油系資源を使わないようにするはずのものが「プラスチック使用」ってどういうことでしょうか。
これを「都市全体」に展開するためにはそれに必要なプラスチック量は石油何トンにあたるのでしょう。
太陽光発電に伴う問題点、出力の安定性は「都市全体」といった地域局在型の場合はさらに大きくなります。
例えば東京23区といった地域を考えた場合、人口は非常に多く集中していますが全体の面積と言えばさほど広いものではありません。
雲がかかって太陽光が一気に減衰するといった状況は常に発生するでしょうが、その間の電力供給の安定性は失われます。
広い範囲に発電所が散らばっていればその影響も少ないかもしれませんが、一都市に集中していればそれは増大します。
それを緩和するために大規模蓄電池などと言えばさらにエネルギー効率は低下するでしょう。
番組内では、かの大学教授が「外国との競争に負けないためにもさらに研究費を」と言っていました。
そこが本音でしょう。
日本いや世界のエネルギーの未来より、とにかく自分のところへ研究費を。
またも、多くの人に誤った夢を見させる話題でした。