オリンピックを無観客で行なうということが決まり、欧米などで同じようなスポーツイベントを有観客、それも超満員といった状況で行なって結局感染拡大を招いたこととの対比が言われています。
また、茨城で行われる予定だったロックフェスティバルが中止ということにもなりました。
実はこれらの事態は、あの「こんにゃくゼリー」による窒息事故発生に対する社会の反応と関係しているそうです。
こういった事情を、リスク学者永井孝志さんが連載している「リスクと共により良く生きるための基礎知識」で解説していました。
このような日本と欧米との対応の差というものが生まれるのは、「リスク許容度」というものの差から来るということです。
安全というものは「許容できないリスクがない」ということであり、そこには科学的に決まるものだけでなく、主観的・心理的な要因も深く関わってきます。
そのために、各国の文化的な背景による影響も非常に大きく、国によって大差があるようです。
オリンピックについていえば、「そもそもオリンピックに関心のない日本人が多い」そうです。
関心のない事柄に対しては、リスク許容度も低くなりがちです。
つまり、「関心も無いことで少しでもリスクが上がることは許せない」と考える人々の比率が高いということです。
これのさらにはっきりした事例が、茨城で行われる予定だった「ロックインジャパン
」の開催中止です。
興味のない人は全く関心がないイベントで、そういう人たちにとってはそんなことで1ミリでもリスクが上がることは絶対に許せないということになります。
これに対し、飲食店に対する営業自粛などの行政対応に対してはかなり反対の意見も強いものです。
これは、関係者も多く国民の関心も高いために、リスク許容度が高くなりがちな事例だそうです。
こういった特徴は少し前にあった「こんにゃくゼリー窒息事故」も同様です。
食物による窒息事故の発生は、餅が格段に多く、こんにゃくゼリーによるものはかなり低い頻度でパンと同程度でした。
子供に限っても、最高は飴、さらにサクランボやブドウ、ミニトマトと続き、こんにゃくゼリーの事故例は少ないものです。
しかし、「餅を禁止しろ」という声が出ないのはやはり長年の食習慣であり、こんにゃくゼリーのような新参者は目標にされやすいということです。
最後に書かれていますが、こういったリスク許容度という問題は、感染症などの専門家からは全く聞かれないということです。
「語ってはいけない何かがあるのか」と永井さんは結んでいますが、まあそうじゃないでしょう。
「まったく分かっていない」からだと思いますが。