爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

サステナブル(持続可能性)とは何か その3エネルギー

人類は多くのエネルギーを使わなければ生存すら不可能です。

そのエネルギーの種類はどういったものでしょうか。

 

それは太陽の核融合によるエネルギー放射と、地球誕生の頃から蓄えられていたエネルギー(地熱・放射性物質)です。

 

太陽から放射されてくるエネルギーは、地球を暖めると共にそれを利用した化学反応(光合成)の元となっています。

つまり、現在利用されているほとんどのエネルギーは元は太陽エネルギーであったと言えます。

太陽光発電、太陽熱はもちろんですが、風力発電水力発電も太陽熱に暖められた水や空気の運動を利用しています。

植物が太陽光エネルギーを巧みに使って得られるのが木材などです。

そして、化石燃料というものも古代に植物や微生物が太陽光を変換して作った有機物が地中に埋もれて化石化したものであり、もともとは太陽エネルギーであったものです。

 

地熱エネルギーは地球誕生の頃から地底深くに貯められている熱量であり、それが時々噴出して火山の爆発などになっています。

放射性物質も地球誕生時に作られた元素で、地中に埋まったままになったものです。

 

これらのエネルギーのうち、サステナブル(持続可能)なものはどれでしょうか。

 

実はどれも「永遠に」サステナブルであるわけではありません。

太陽も寿命がある恒星であり、数十億年ののちには爆発してしまうと言われています。

地球の内部の熱量も徐々に放散されており、やがては凍り付いた星(中の中まで)になる運命です。

放射性物質も長期間を掛けてですが分裂し続け核反応しなくなる元素に向かっています。

 

ただし、これも前述のとおり「人類として」考えればそんなに長い期間継続することは必要なく、せいぜい数万年安定していれば「事実上サステナブル」と言ってよいでしょう。

それは何かといえば、太陽エネルギー、地熱エネルギー、核放射性物質です。

 

ここで間違えてはいけないのは、「太陽エネルギー」はサステナブルであっても、そのエネルギー保持の状態によりサステナブルではないものがあるということです。

化石燃料は元は太陽エネルギーであったとはいえ、それが既に生物によって有機化合物に変換されて固定化されています。

それを燃焼させることにより貯められていたエネルギーを解放するのですが、それを使っているのが石油・石炭・天然ガスです。

この状態の化石燃料というものはまったくサステナブルではなく、燃やしてしまえば終わりです。

 

つまり、「太陽からのエネルギーの流れ」を活かすことができる形態のエネルギー使用だけがサステナブルということです。

 

こういう見方をすると、植物の利用というのも実は問題を含んでいます。

森林を育成し木材を利用するというのがサステナブルそのもののように見えますが、これも一定期間の太陽エネルギーの蓄積が必要となるということです。

樹木の生育に要する期間、数十年経たなければ使えないとすれば、一年間で使える量というものは限られてきます。

その期間が待てずにどんどんと森林を伐採して行って、結局人間が住むことができなくなったという例は、古代文明の時代からいくらでも見ることができます。

インダス文明メソポタミア文明もどうやらそれで崩壊したようです。

 

この樹木の生育が遅いということは、植物側の性質もありますが、それ以上に太陽光と言うもののエネルギーはそれほど濃くない(密度が薄い)という理由によります。

そして、それは太陽光発電風力発電といった最新のテクノロジーにも影を落とします。

こういった「非常に薄いエネルギー」である太陽エネルギーを捕らえて電力に変換しているのが太陽光発電ですが、そのために大変大がかりな装置を用いざるを得ません。

そして、それがこういったエネルギー装置が非常に不効率で割が合わない理由になります。

 

現在は太陽光発電設備の建設ラッシュの様相を呈しています。

あちこちに驚くほど広大な土地に一杯に太陽光発電装置を備え付けた発電設備が設けられていますが、その規模の割に発電電力量が少ないと感じます。

海上風力発電に至っては、大型船かと見まごうばかりの大きな設備に風車が供えられますが、これも驚くほど少量の電力しか得ることができません。

とてもそんなものじゃ元が取れないというのが素人でも感付くところです。

 

このように、そのエネルギー源が「サステナブル」かどうかということは、10年もそれだけで運転を続ければ分かることです。

おそらく、その設備の分だけの維持管理のエネルギーも賄えるかどうか怪しいもので、再生産、すなわちその装置の耐用年数が切れる以前に同じものを製造するためのエネルギーすら得ることは難しいでしょう。

 

このように、現在のいわゆる「再生エネルギー」が本当に再生可能かどうかは、極めて怪しいものです。

しかし、化石燃料エネルギーが再生可能ではないということは間違いのないことです。

やはりサステナブルであるためには、化石燃料エネルギーへの依存を断ち切り、太陽エネルギーの何らかの使用形態をとらなければならないでしょう。

 

なお、一応「当面の間はサステナブル」エネルギーであるとした、地熱と核分裂物質ですが、これも人間が安全に使えるようなエネルギーとは言えないようです。

地熱は地表に露出しているものはごくわずか、存在するのは分かっていても近づくだけでも容易ではありません。

核エネルギーは、事故と隣り合わせですがそれが解決する見込みはかなり薄いものでしかありません。

 

 このように、「サステナブル」であると言えるエネルギー源は現状ではあるとは言えないようです。

いくら「再生可能エネルギー」などと称していてもほんの数年もすれば化けの皮がはがれるでしょう。

エネルギーに関していえばサステナブルであることは非常に難しいことと言えます。