爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「MIT 音楽の授業」菅野恵理子著

MIT すなわちマサチューセッツ工科大学です。

科学や工学の大学としては最高峰とも言えるところで、ノーベル賞受賞者も多数輩出しているところです。

 

そこには「音楽学科」というものも設置され、専門の学生も在学しているのですが、それ以外に全学を対象として教養科目としての音楽授業も実施されています。

 

科学者、技術者として世界有数の人材を相手に「音楽の授業」はどのように進められているのか、音楽教育などを専門に取材している音楽ジャーナリストの著者が調べました。

 

MITが創設されたのは1861年、自然科学系だけでなく最初から政治学科もおかれました。

1930年代には人文学科も創設、1961年には音楽学科が設立されました。

その後芸術科目はさらに拡充されています。

1970年代からは学生は人文学、芸術、社会科学から最低1科目ずつ履修することが義務付けられています。

現在は全学生4000人のうち、毎年1500名が音楽を受講しています。

その中には音楽演奏を経験している者もいますが、まったく未経験という学生も多いようです。

 

彼らが自然科学を専攻しながら音楽を履修する意味は何か。

やはりどちらにも創造力というものが必要であり、それは様々な方向から刺激されることで効果的に発展するという意識があるからだということです。

 

実施された講義の内容も紹介されています。

西洋音楽史入門」

ワールドミュージック入門」

「オペラ」

ザ・ビートルズ

講義の進め方も記されていますが、なかなか考えられたもので、学生たちに知識だけでなく創造も促すような進め方になっているように見えます。

 

うらやましくなるような教育であると言えるでしょう。

日本の大学の教養科目授業というものは、現在ではどうなっているのかは知りませんが、かつては全く面白くも無いものでした。

そこがMITとの違いか。