爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「栄養を科学するブログ」より、「公衆衛生学」日本とアジア各国を比較

東京大学大学院医学系研究科の村上健太郎さんと篠崎奈々さんが書いている「栄養を科学するブログ」というものがありますが、そこで篠崎さんが最近発表したのが「公衆衛生学」というものの扱いが日本と韓国・台湾・中国でどう違うかということを検証したものです。

kmnutri.com

村上さんと篠崎さんは現在は栄養疫学という分野で研究をされています。

この栄養疫学は公衆栄養学に含まれるものと考えられているということです。

 

公衆栄養学とは栄養面からのアプローチにより集団の健康状態の改善と疾病予防を目指す学問です

と言うのが「公衆栄養学」というものの簡単な定義ですが、このため栄養疫学もこの一分野ということです。

 

実は、公衆栄養学は必修として扱われている大学が多数に上り、そこの学生さんは必ず履修しているはずですので、習った人が少ないわけではありません。

しかし、それがほぼ「栄養士養成課程」に限られているということで、そこに通って授業を受けた人は知っているが、それ以外にはほとんど知られていないということでしょうか。

 

これをアジア諸国と比較しても、必修としている大学の数は日本では128と、中国の24と比べてもはるかに多いということになっています。

 

ただし、日本では公衆栄養学は家政学の一分野として捉えられているのに対し、韓国では「自然系列」台湾では「保健・福祉」そして中国では「医学」の一分野として扱われており、そこには大きな相違があります。

 

公衆栄養学の分野での論文発表数が、日本では他国と比べて非常に少ないというのが特徴となっています。

つまり、大学で必修科目として教えられてはいても、それを専門に研究していこうと考える学生や研究者がほとんど出てこないということなのでしょう。

 

日本での公衆栄養学の講義は、あくまでも栄養士試験突破のための項目に限られてしまうとか、教える側の教育者も公衆栄養学の研究者はほとんど無く、管理栄養士であれば教えられるとか、この分野の発展というものが期待しにくいような環境になっているようです。

 

これまでも「栄養疫学」という学問分野への一般の認識が低いと感じていましたが、公衆栄養学というものが抱える問題点もこれと同様の状況のもとにあるようです。