感染拡大にも関わらず街への人出が減らないと言った報道が続いており、あくまでも国民の行動にその原因があるかのような宣伝が蔓延しています。
確かに感染者数はどんどんと増えていますが、「医療崩壊」はそれだけが原因ではありません。
感染拡大の危険性がありながら、昨年の第1回緊急事態宣言以降医療体制強化の方策をほとんどしてこなかった政府や自治体について何回か書きましたが、そもそも「病院・病床数、保健所数」がここ数年で急激に減らされていたという事実があります。
鹿児島大学の伊藤周平教授が「現代ビジネス」Gendai.ismediaに詳細な数字を挙げて書かれていました。
医療費が急激に増加して財政を圧迫してきたと言う問題に対処すると称し、この20年間で感染症対応の病院、病床は減らされ続けてきました。
感染症指定病院は現在全国で475病院しかなく、ほとんどが自治体の公立病院か日本赤十字社の病院です。
それらの中で、陰圧隔離装置を備えた感染症病床は、1996年に9716床であったものが2019年には1758床となっていました。
この動きは特に安倍政権になってから加速しており、「地域医療構想」と称して削減を進めてきました。
狙われたのは公立の病院で、統合や廃止といった話が飛び交ったのも少し前のことでした。
これは地方では大きな話題となったのも記憶にあります。
さらに病院の医師や看護師の削減も進められたのが、現在の人手不足の要因だったのでしょう。
保健所が減らされ保健師も少なくなっていたために今回は大変な状況になっています。
1992年に852あった保健所は2020年には469にまで半減していました。
このツケが襲い掛かっています。
伊藤教授がこの記事を書いたのが昨年5月29日、その時に「医療崩壊を防ぐため」ということも書かれています。
しかし、何も為されないまま、第2回の緊急事態宣言となってしまいました。
誰も何も考えようともしないのが政治なのでしょう。