5年ほど前に購入し読んだ本ですが、この内容に関する考えをまとめる必要があったために、再読しました。
著者の田村八洲夫さんは、本書出版当時は「もったいない学会」副会長ということでしたが、現在は理事ということです。
「もったいない学会」は、「NPO法人石油ピークを啓蒙し脱浪費社会を目指すもったいない学会」と言う法人の略称ですが、”石油ピーク”というこの現代社会に間違いなく襲ってくる大きな社会変動の要因である事実について、広く啓蒙を図るとともに、それに対応する社会を作り出すことを目標としています。
「石油ピーク」はよく言われるような「石油枯渇」とは異なり、これから徐々に供給が消費を下回っていくということを示しているのですが、それでもやがては現在のような石油消費、浪費とも言うべき状態は正さなければなりません。
そこには、経済成長ができなければ社会が守れないなどといった、現在の資本主義の宿命などは二の次とされることになります。それが、厳しいと感じる人が多いのでしょうが。
上に引用した5年前の書評に多くは書いていますが、重複するかもしれませんが、強調しきれなかったことを記しておきます。
著者の田村さんは長年石油資源探索などの業務にあたってきたということで、エネルギー資源の評価には非常に詳しいようです。
その目から見れば、シェールオイルやメタンハイドレートなど、期待を込めて語られているものが、実はほとんど資源としての意味を持たないことを明らかにします。
シェールオイルなど、「エネルギー革命」などともてはやす人もまだ居ますが、それを取り出すだけで莫大なエネルギーを費やすため、原油価格が高騰しなければ商品価値も無くなるという代物です。
しかも、その埋蔵量も一箇所あたりでは微々たるもので、採掘していくとあっという間に無くなりまた次の場所に移動を強いられる程度のものです。
石油などの化石燃料エネルギーに頼れなくなり、その他のいわゆる代替エネルギーも期待はずれとなったら、その後の社会は低エネルギー社会とするしかありません。
その時こそ、「有限地球」であることを認め自然と共生する社会を作るしか生き残る道はないでしょう。
この最後の部分の今後の社会の形について、私自身もよく考えていきたいと思っています。