爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「名探偵ポワロの華麗なる生涯」アン・ハート著

カナダの作家のハートさんがアガサ・クリスティーの作り出した名探偵ポワロの登場する作品89編の中から様々な描写を抜き出してポワロの生涯をまとめなおしたと言うものです。
当然のことながら、長い間に発表された一連の作品ということで、原作者の様々な間違いもあるでしょうし、矛盾が多くなるかもしれませんが、それをものともせずにやり遂げたのはポワロの熱烈ファンであるからなんでしょう。

まず、ポワロの年齢からして謎だらけでありまた矛盾だらけです。最初の登場から考えると生まれたのは19世紀中頃のベルギーであり、第1次世界大戦ベルギーがドイツに占領されたために多くのベルギー人がイギリスに亡命してきたのですが、その中にベルギー警察で活躍したポワロがいたというところから始まり、そのころにすでに60歳ほどであったようです。
しかし、それから長くイギリスで探偵として活躍し、なんと1970年代まで登場(もちろん老人としてですが)というのは、何歳のつもりだったのでしょうか。

まあとにかくイギリスへのデビューは1916年だったということで、それから本書では1920年代、1930年代、1940年代、それ以降の30年、また大英帝国勲章4等勲位アーサー・ヘイスティングス大尉、ロサコフ伯爵夫人とオリヴァー夫人、その他いろいろな主題別に様々な作品から描写を抜き出して再構成して見せます。

私はポワロは小説で読んだのはほんの数編、あとはテレビドラマ(スーシェの主演した例のシリーズ)で見た程度で、本書に引用された様々な作品のほとんどは目にしておらず、この本を読んで改めて読みたくなりました。
同じ著者の前著に「ミス・マープルの生涯」というのもあるそうです。これも探してみますか。