爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「カーボンニュートラルの液化天然ガス」って何のこと、”実質ゼロ”なんて言う言葉遊びは有害無益。

カーボンニュートラル液化天然ガス」などと言うまったく意味不明の言葉発見。

www.nikkei.com

東京ガスが、二酸化炭素排出を「実質ゼロ」とみなす都市ガスを供給するという話です。

どうやら、液化天然ガスに見合うだけの森林造成をするので、計算上は二酸化炭素ゼロとできるという理屈のようです。

 

しかし、植物が二酸化炭素光合成で固定し植物体を形作る炭化水素にすると言っても、その植物が生きている間のことだけで、枯れてしまえばまた分解して二酸化炭素を排出します。

森林であれば何十年も先のことだから良いというのでしょう。

ここにも、短時間のことしか考えられないという、現在の社会の病的側面がはっきりと表れています。

 

他のところでも頻発する「二酸化炭素排出実質ゼロ」です。

結局は化石燃料消費を無くすことはできないから、森林造成などの手段で計算上(その場限りですが)ゼロにしておこうというだけの姑息な話です。

もう「実質ゼロ」という言葉を聞いただけで、それを発出している企業なり団体なりの正体が見えるような気がします。

なお、これを実施している東京ガスもそうですが、そこからこの「カーボンニュートラルLNG」を購入することで、「環境に良いことやってます」と言いたい企業も同様です。

 

言うのもバカバカしい話になりますが、これも「造成できる森林用地がある限り」の話です。

それも無限ではありません。

木を植える場所も尽きたら、今度は森林を伐採して植える場所を造成するのでしょうか。

 

「最新医学常識99」池谷敏郎著

医学について、人々が考えている「常識」は徐々に変わっているようです。

少し前までは医者でもそう思っていたのが、まったくひっくり返っているということもあるようで、気を付けていないといけないのかもしれません。

 

ただし、本書出版は2011年ですでに「最新」とは言えないかもしれませんが、それは他からの情報で修正していかなければいけないのでしょう。

 

著者の池谷さんは病院の院長で、内科と循環器科が専門と言うことですが、もちろん本書は医学から周辺領域まで広い範囲を対象としています。

 

99の項目が取り上げられていますが、中で気になるところだけ紹介しておきます。

 

最近の日本人は体温が低いか。

どうもそのようで、50年ほど前には平熱の平均は36℃台後半だったのが今では36℃周辺になっているようです。

これは、基礎代謝の低下や食生活の変化の影響かと考えられますが、はっきりはしていません。

しかし、体温低下は悪影響があれこれとあり、感染症免疫の低下と言うこともあるようです。

 

食物アレルギーは採血で診断できるか。

最近は幼稚園や学校でアレルギー反応による事故があるということで、入園時に食物アレルギー検査をやるというところもあるようです。

しかし、採血してアレルギー抗体の検査をする「RAST」というものは、それほど正確なものではなく、アレルギー抗体が高くても発症しない例も多く、確定診断のためには原因物質の除去と負荷といった試験をしなければならず、このRASTだけで安易に食物除去を行うと栄養不良になる危険性もあるようです。

 

擦り傷などは消毒した方が良いか。

昔の常識では擦り傷切り傷には赤チンなどを塗っておけでしたが、今ではそういった消毒は皮膚の細胞にダメージを与えるのでいけないということになっています。

傷は流水で十分に流して菌を流し落とし、そのままラップを貼り付けて乾燥させずにおく方が良いということです。

 

けっこう、知らないことがあるようで、最新知識を仕入れておく方が良さそうです。

 

 

忽那賢志さんのワクチン情報「ブースター接種の副反応の強さ」

コロナウイルス感染症に関する情報源として参考にさせていただいている、忽那賢志さんの最新記事です。

news.yahoo.co.jp

ワクチンのブースター接種、すなわち3回目の接種ですが、2回目より3回目のブースター接種の方が副反応が強くなるという噂が流れているそうです。

そこで、すでにブースター接種がかなり進んでいる海外の国の情報を紹介しています。

 

そもそも、なぜブースター接種が必要なのか。

今主に接種されている、ファイザー社、モデルナ社製のワクチンはmRNAワクチンと言い、新たに開発された種類のワクチンで、その効果や副反応についても分かっていないことが多かったようですが、どうやら効果の減少が速いという性質もあるようです。

 

ファイザー社のワクチンについての調査では、接種後6か月で効果が20%にまで落ちてしまうという結果が得られています。

そこで3回目の接種の効果が調べられ、これによりかなりの感染防止効果が得られるということが判ってきました。

ただし、世界的にはまだワクチン未接種の人がかなりの割合で残っていますので、先行するアメリカやイスラエルでも免疫不全者や高齢者、基礎疾患のある人に限っての接種になっています。

 

その副反応発生の頻度も分かってきており、心筋炎などの強い副反応の発生率も2回目とさほど変わらないという結果のようです。

ただし、接種部位のかゆみや痛みといった軽い副反応は少し増えるということもあるようです。

日本でもブースター接種が部分的に実施されるのかもしれませんが、副反応という点ではさほど心配はなさそうです。

 

小選挙区制で本当に良いのか。

衆議院選挙がまたいつものように(当然ですが)小選挙区比例代表並立制で行われます。

 

この選挙制度の欠点を指摘する声は非常に多いのですが、政権政党に有利ということで制度改革を検討しようとすることすら全くありません。

www.weblio.jpこの解説には、利点として、安定した政権が作れること、「もしも」有権者政権交代を望むなら比較的に容易であること、そして欠点としては、死票が多くなること(死票率が70%を越えることも)、政党の得票率と議席占有率の乖離(日本の政権政党は4割台の得票率で7-8割の議席)、そして地元選挙区への利益誘導が激しくなることを挙げています。

 

おりから、ドイツで連邦議会総選挙が行われましたが、過半数に達する政党がなく、連立交渉が長引くことになり一見「政治の混乱」が続くように見えます。

これはドイツの選挙制度とも関連します。

ドイツの制度は「小選挙区比例代表併用制」とされており、日本の「小選挙区比例代表並立制」と同じように見えますが、実際には大差があります。

ドイツ連邦議会 - Wikipedia

 

ドイツの制度は、基本的には比例代表制によるものであり、それを補完するのに小選挙区制を取り入れているというものです。

ドイツの比例代表の選挙区は連邦全体ということですので、全国1区の大選挙区制にあたるでしょう。

日本は基本的に小選挙区制であり、それで落ちた候補者の救済や、小選挙区での候補者一本化に失敗して出られない候補者をなだめるために比例代表を使っているだけです。

 

ドイツのような政権樹立のための協議が長引くこと、政権が不安定であることは一見この制度の欠点のようにも見えますが、これこそが民主主義であると考えれば受け入れるべき事かもしれません。

 

それよりも、日本の制度で得票率が半分にもならないのに圧倒多数の議席を確保し強力な政権を作れる方がよほど問題でしょう。

しかも、これは日本の有権者の責任でしょうが、選挙の棄権が多く投票率が30‐40%などと言う状況であれば、その中の得票率4割ということになると実際には有権者の20%以下の支持で議席が8割以上という圧倒多数の政権を作れるということになります。

これはとても、国民の支持を受けた政権とは言えないでしょう。

 

なお、上記の「小選挙区制の解説」にはさすがに表には表し難いので触れていませんが、自民党に顕著に見られる「与党幹部による議員の支配強化」については欠点とされていません。

しかし、小選挙区制では政党の公認が絶対的な力を発揮し、そのために政党中枢部がいくら間違ったことをやっていても、その政党内の議員が反対の声を上げることができなくなっています。

選挙の際の公認を取り消され、対抗して公認候補を立てられれば当選は事実上不可能となるということを、多くの実例で示された議員たちはもはや政権中枢がいくら非道や暴虐を行っても何一つ批判もできなくなっています。

もはや、「自由」でも「民主」でもなくなったのが今の自民党であり、それが強大な権力を持つ源泉となっているのが衆議院選挙制度小選挙区比例代表並立制です。

こんな、欠点ばかりの制度をなぜいつまでも守らねばならないか。

それこそが政権党を有利にするからでしょう。

世界遺産登録が相次ぐが、それはその場になにをもたらすか。岩見銀山の例より。

毎年のように世界遺産登録されるところが続出、それを喜ぶ地元の様子と言ったものが報道されます。

しかし、世界遺産登録を観光振興のビジネスチャンスとしかとらえられなければ、あっという間に熱気は去り、不相応な投資が重くのしかかるばかりというところがほとんどでしょう。

 

2007年に登録された島根県石見銀山の様子をレポートした記事がありました。

president.jp石見銀山のある島根県大田市大森町というところは人口わずか400人の町だそうです。

そこに住む松場さん夫婦は、世界遺産登録からその後の人々の浮かれた様子に危惧を抱きました。

 

外部からの企業進出、行政の浮かれぶりも危ういものでした。

しかし、それを指摘する松場さんの声は誰にも響きませんでした。

 

案の定、登録直後には一日1万人もの観光客が訪れたものの、それも3か月もすれば収まり、1年後にはほとんど人も来なくなったとか。

進出企業はほとんど去り、元のひっそりとした町に戻ったそうです。

 

世界遺産という名前につられて観光に来る人たちは大森町の町の魅力などには目もくれず、「石見銀山」だけに興味を持ちますが、それは地元の人たちの想いとはかけ離れたものです。

 

このような騒動は世界遺産登録された場所のほぼすべてで起きているのでしょう。

そして台風一過のような現状というものも、同様なのではないかと思います。

世界遺産という名前の意味をもう一度考え直すべきなのでしょう。

 

父の事、父の誕生日にあたり

10月17日は亡父の誕生日、もう祝う人も居なくなりましたが、やはりこの日になると思い出します。

 

父の生きている間にその人生の思い出について聞かされたことはあまりなく、かなり大変なこともあったようですが、はっきりしません。

それでも母や従兄から聞いた話なども参考に再構成しておきたいと思います。

 

なお、このブログでは自分の名前も非公表にはしていますが、父や祖父の名前など隠していると書きづらいので、その辺のところは本名を使います。

もうそれで分かる人もほとんど残ってはいません。

 

父、博は大正4年(1915年)10月17日に長野県下伊那郡に産まれました。

父親は儀一、母親はなみ、儀一はそこの出身ですが仕事で岐阜に行き、そこでなみと結婚しましたが、その時期には長野に帰っていたようです。

産まれた時に名付けをする際、親戚一同寄り合って話をし、「儀一の息子だから儀太郎にすべえ」となりかけたが「それじゃ古臭いで、博がよかろう」となったというのは正式な話では無いようです。

 

博の祖父の代までは大きな地主だったということですが、だんだんと資産を失いました。

博の幼い頃はまだ財産も残っていたのか、幼稚園まで人力車で通ったなどと言う話もありますが、それも夢物語となったようです。

資産も亡くなれば祖父の仕事次第と言うことになり、長野を離れました。

岐阜にも住んでいたようで、父の出身中学は岐阜中でした。

その後、和歌山の高等商業に入り、卒業したようです。

 

和歌山高等商業は現在の和歌山大学経済学部の前身ということですが、当時は専門学校で卒業すれば商社などに就職するというコースでした。

父は商社ではなく全国組織の団体の管理部門に就職したようです。

しかし時期がちょうど戦争となり、父も少し遅れて徴兵され入隊しました。

そこが千葉鉄道二連隊というところでした。(この辺の事情はウィキペディアで調べるとかなり違うようですが、父の話を元に書いておきます)

鉄道第一連隊は海外に派兵され、中国やインドシナで鉄道建設にあたり多くの将兵が戦死したのですが、父の連隊はもはや海外に出たくても出られず、国内をあちこち動いている間に終戦となったということです。

 

終戦後は元の団体に戻りそこでずっと仕事を続けました。

 

その団体は農林水産業の資材販売といったことをやっており、北海道から名古屋、福岡と転勤を繰り返しましたが、定年近くなってようやく東京に戻りました。

最後は東京本所の総務課長ということで、その後もそこのOB会の世話などをかなり年取るまでやっていました。

その団体の中ではかなり活躍した方だったのでしょうが、私が大学卒業時にそこに入所するのはどうだろうと相談したところ、「あんなところはハッタリばかり強い奴が偉くなるような所だからよせ」と言われました。

会社のことも息子のこともよく見抜いていたということでしょう。

 

定年間近に東京勤務となると、すぐに以前から準備していた宅地への家の建築に取り掛かりました。

それが茅ヶ崎に今も弟が住んでいるところです。

私が小学6年の時に家が完成し、移り住みました。

父はそこで亡くなるまでの40年弱を過ごしました。

 

茅ヶ崎に移ったすぐ後に、父は近くの剣道の道場に通うようになりました。

若い頃には当時の学生はすべて柔道か剣道を習うことになっていたとはいえ、それから40年以上経って再び剣道を始めるというのはすごいことだと思いました。

週に何度か道場に通って練習をする以外にも、家の庭に材木を立ててその上に人の頭ほどの高さに球のようなものを付け、そこに竹刀を打ち込むという練習を毎朝毎晩何十回も繰り返していました。

その甲斐あってか、段位もどんどんと進み、最終的には練士六段にまで昇りました。

あの思い込んだら集中してやり遂げるというところは、息子には全然伝わっていません。

それでも遺品として父の使っていた居合道用の模擬刀だけは我が家に持ち帰り飾っています。

 

80代までは若々しく、実年齢より10歳以上は若く見えるなどと言われていましたが、さすがに90の声を聞くとめっきりと衰えてしまいました。

最後は病院で息を引き取ったのですが、心臓だけは強かったようで、危篤という連絡を受けて九州から急遽帰郷したものの、1週間以上もそのままの状態で、ようやく亡くなったのが92歳の8月でした。

父の生まれた大正時代初めの頃はまだ自動車や電気すらほとんど田舎では普及もしていない時代でしたが、亡くなった平成時代はバブルもはじけて不況の只中でした。

その激動の時代を力強く生き抜いてきたと言う一生だったのでしょう。

 

まあ、かなり省略しましたが、全部を書いてしまうと一冊の本になってしまうので、こんなところです。

 

エキノコックスが愛知県知多半島に定着か、コロナよりはるかに危険かも。

北海道に広く存在し、時折感染した人が出る寄生虫エキノコックスが、本州にも広がっているのではないかという疑いがありましたが、愛知県の知多半島に存在が確認されたということです。

www.fukuishimbun.co.jp

記事によれば、愛知県の知多半島で捕獲された野犬にエキノコックスの感染確認が相次ぎ、国立感染症研究所知多半島内にエキノコックスが定着したという見解を示したそうです。

 

エキノコックスは主に野ネズミとキツネ(および犬)の間で成虫と卵が行き来して感染を繰り返すもので、人もその卵が口から入ることで感染し、すぐに症状が出るわけではないものの、数年から十数年かけて体内で増殖し、主に肝臓に住み着きますが、脳や肺にも広がり命に関わることになります。

www.pref.hokkaido.lg.jp

これまでも、北海道観光でキタキツネに触れたりすることで感染する危険性があると指摘されたこともあります。

またそれ以外にも自然界の水や草、土に卵が落ちていてそれが口から入ることでも感染することがあります。

 

知多半島で野犬が感染しているということは、野ネズミも感染したものが多数居るということですから、自然界の汚染も危ないところです。

北海道のキタキツネとは違い、野犬に触れるということはないでしょうが、湧き水、沢水を飲んだり、山菜を食べたりすることでの感染が心配なところです。

 

感染し体内に寄生虫の塊である嚢胞ができた場合は、その治療は外科的にすべて取り除くしか方法はないようです。

治ったとしても身体には大きなダメージを受けてしまうでしょう。

 

野ネズミやキツネ、野犬といった動物に寄生しますので、根絶というのはほとんど不可能でしょう。

せめて他の地域へ広がらないようにできれば良いのですが。