毎年のように世界遺産登録されるところが続出、それを喜ぶ地元の様子と言ったものが報道されます。
しかし、世界遺産登録を観光振興のビジネスチャンスとしかとらえられなければ、あっという間に熱気は去り、不相応な投資が重くのしかかるばかりというところがほとんどでしょう。
2007年に登録された島根県の石見銀山の様子をレポートした記事がありました。
president.jp石見銀山のある島根県大田市大森町というところは人口わずか400人の町だそうです。
そこに住む松場さん夫婦は、世界遺産登録からその後の人々の浮かれた様子に危惧を抱きました。
外部からの企業進出、行政の浮かれぶりも危ういものでした。
しかし、それを指摘する松場さんの声は誰にも響きませんでした。
案の定、登録直後には一日1万人もの観光客が訪れたものの、それも3か月もすれば収まり、1年後にはほとんど人も来なくなったとか。
進出企業はほとんど去り、元のひっそりとした町に戻ったそうです。
世界遺産という名前につられて観光に来る人たちは大森町の町の魅力などには目もくれず、「石見銀山」だけに興味を持ちますが、それは地元の人たちの想いとはかけ離れたものです。
このような騒動は世界遺産登録された場所のほぼすべてで起きているのでしょう。
そして台風一過のような現状というものも、同様なのではないかと思います。
世界遺産という名前の意味をもう一度考え直すべきなのでしょう。