爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「内田樹の研究室」より「ウクライナ停戦の条件」

内田さんは国際政治通とは言えないと思いますが、それでもあるメディアから「ウクライナ停戦の条件」という題で書いてくれという依頼を受けたそうです。

「素人の床屋政談」でよいかと念を押した上で以下のような文章を書いたということです。

blog.tatsuru.com素人と自称していても、ほぼ正確に状況を見ていると言えるように思います。

 

まず、ロシアウクライナの双方とも「国土の保全または回復」を目指して戦っており、その対象となる国土は同一であるためどちらかが勝つか負けるかでなければ停戦はないということです。

これはもちろんその通りでしょう。

ロシアは憲法で領土割譲を認めていないため、すでにロシア領だとしているクリミアと東部4州は手放すという選択肢はありません。

したがってプーチンはこれらの領土を軍事的に敗けることで手放すことになる以外には途中で停戦はありません。

ゼレンスキーもこれらの領土をロシアに渡したままの状態で停戦することはできません。

これを貫くという姿勢でウクライナ国民の支持を集め、アメリカなどの後押しも受けているのですから、途中で停戦ということはそれらを手放すことになります。

 

内田さんも言う通り「完全なデッドロック」ですが、もしも状況が変わるとするならばどちらかの指導者が何らかの理由で地位を去る場合だけだということです。

すなわち、病気または暗殺、あるいはクーデターでどちらかの大統領が代わり、停戦を容認できる者に代わった時が停戦を可能とする時ということでしょう。

 

これはプーチンにはしばらくの間は起こりそうもありません。

もし健康上の理由で交代しても後継者はその路線を引き継ぐしかありません。

ゼレンスキーは国民の支持も危うい基盤でありなにかあれば分かりません。

どちらかと言えばゼレンスキーの方にその危険性がありそうです。

 

もう一つの可能性は中国の仲介ということです。

今のところ一応中国はどちらとも完全には協調しておらず、話ができる立場です。

ただし、このような重要な仲介をするということはやはり世界の覇権をアメリカに代わって中国が握るということですから、アメリカの反発と妨害は大きいだろうと見ています。

 

このような平和に至る停戦が可能でなければ軍事的に決着が付くということでしょう。

これは今のところどちらもすぐには負けということにはなりそうもありません。

ロシアが核を使えばどうなるかは分かりませんが。

内田さんに寄稿依頼をしたメディアはこの文章で納得できたのでしょうか。