数学というものの重要性はますます増大している世の中ですが、いまだに数学嫌いという人間がかなりの割合を占めているようです。
本書著者の永野さんは数学を愛しているとまで書いていますが、多くの若い人に数学の面白さを感じてもらいたいという思いが伝わってくるような本となっています。
数学に関する様々な方面からのエピソードを入れ、マンガ風の挿絵も入れ、図解も多くと努力しています。
また書名自体も「とてつもない数学」とちょっと目を引くような仕掛けにしてあります。
ただし、図書館でも置いてある棚は自然科学の中でも数学の所、おそらく書店でも同様でしょう。
数学に興味のない人は近寄ることもないエリアかもしれません。
数学の芸術性も知っている人にとっては言うまでもないことですが、「数学の美しさ」というのはやはり見せられて驚く経験があれば後の数学に対する姿勢が変わるかもしれません。
数学は便利なんだよということは、身近な例を出して強調されています。
フェルミ推定というものも(私はこの名称は知りませんでしたが)知っていればかなり役に立つでしょう。
天才数学者の紹介というものも触れられています。
ユークリッドからはるか時間を飛びフォン・ノイマンというのは飛びすぎかもしれませんが、まああまりたくさん人の名を出しても読む気がしなくなるかもしれません。
しかしその次に出てきた、インドのシュリニヴァーサ・ラマヌジャンという名前は私もまったく聞いたことがありませんでした。
19世紀末から20世紀初頭、インドで独学で数学を学んだのですが、自分で思考し発見した定理や公式をノートに書きつけていて、そのうち3分の2は全く新しいものだったそうです。
私も昔から数学は好きだったんですが、成績はそれほど良いわけではありませんでした。
しかし今でも時々こういった本は手に取ってみたくなります。