ユーラシアといってもここで描かれているのは中国とロシア、中央アジア一帯の話です。
現在ではロシアが戦争に伴い欧米との関係が悪化したためにかえって中国や中央アジアとの関係を深めているようですが、かつては中ロ関係が悪かった時代もあり、また中央アジアは旧ソ連が崩壊した後に国によりロシアとの関係性は異なるようです。
この本は2010年の出版で、一時ぎくしゃくしたそれらの国の関係が修復され、ロシアのエネルギー資源、中国の産業と共に中央アジア各国も一体化して発展を目指すという希望が出た時のものです。
それが今後どうなるか、予測は難しいものですが、さらに緊密化する可能性もあります。
本書の中では希望的に見られていますが、ロシア産の原油や天然ガスはシベリアから中国に向けてパイプラインが建設され、それが日本やアメリカにも供給される可能性にも触れています。
今ではまったくそういう状況は無くなりましたが、今後もそうかどうかは分かりません。
本書の最初では中国とロシアの国境確定に向けた状況について描写されています。
両国ともかなりの妥協をした上で行われたのですが、それが合意されたからこそ今の良好な関係につながっているのでしょう。
ただし、その頃のロシア国内の声としては中国の発展ばかりが成り立ちロシア側としては得るものが少ないという危惧もあったようです。
中央アジア各国も国それぞれでかなり事情に差があるようです。
なかなか分かりにくい地域ですが、よく理解することが大切なのでしょう。