爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「バイトやめる学校」山下陽光著

アルバイトは学生が学費や生活費の足しにするためにやっているという人が多いでしょうが、学校卒業後も定職に就かずバイトをやっているという人もいます。

その理由としては、芸能関係や芸術の道に進みたいがまだ力量が不足しているために当座の生活費を稼ぐという人もいるでしょうし、また自分の興味や適性にあった商売をしたいが開業費が無いためにという人もいます。

 

著者の山下さんは自分でも古着を扱う商売を始めたのですが、その時にはそれほど貯金も無く、営業の知識も無かったのですが、それでも好きな道を進むことに決めました。

その経験から、何か好きな道を進む希望がある人は、バイトなどで時間と体力・精神力をすり減らすようなことをせず、すぐにでも踏み出した方が良いと考えます。

そこで、本書の題名にもしている「バイトやめる学校」と称して希望者にアドバイスをする活動を始めたそうです。

 

アルバイトで当座の生計を支えるといっても、結局はいくつもバイト掛け持ちといったことになりがちです。

一件のバイトでも相当な消耗になりますが、それを何件もやったのでは肝心の希望の職業への準備など到底できるわけもなく、結局はそのままバイトに埋もれてしまうことになります。

だからこそ、多少の危険はあっても踏み出せば何とかなるものだということを伝えたいということです。

 

とはいえ、いくら好きといってもやみくもに商売を始めるといのは無謀です。

そのため、現在の情勢、とくにネットなどを有効活用しての新しい商売のヒントなども示し、それを上手く活用することを薦めています。

さすがに田舎の誰も来ないようなところで自分の好きなものを並べて商売といっても客が来るわけもありません。

 

それを、著者特有の表現で、「資本主義が得意じゃない人の経済圏」を活かすと表わしています。

大企業などが目指す「最小の労働で最大の利益」などと言う方向は多くの人々が集中して争っています。

そのようなところではなく「最大の労働で最小の利益」しか得られないような商売をすれば、そんなところにはほとんどの人は見向きもしません。

そういったところで、手間を掛けるだけ掛けて、それでせいぜい食べていくだけの儲けを得るといった商売を見つければ、ほとんど競争相手も無くゆうゆうとやっていけるのだということでです。

そういう商売にはそれに似たような人がきっと現れ、共にそこそこの儲けを分かち合うような状況が生まれるだろうということです。

 

巻末には著者が「バイトやめる学校」で教えて実際に実行した人たちの体験談を聞くというコーナーもあります。

それも一つの生き方かもしれないと思わせるものでした。