EUが「グリーンな投資先」として原子力や天然ガスを認定するなど、「グリーン」すなわち持続可能性というものの解釈には混乱(というよりは欺瞞)が溢れているようです。
またその目的は怪しいものではあるものの「石油などの化石燃料を使わない」ということを謳う「脱炭素化」というものが取り上げられることが増えました。
そのために自動車などではEV、そしてエネルギー関係では太陽光発電や風力発電というものに我も我もとなだれ込んでいくように見えます。
しかし、その実態はと言えばほとんどのものはその生産や運用に現状では石炭・石油をたっぷりと使っている状態です。
例えば太陽光発電パネルの製造では中国は石炭火力発電の安価な電力を使うのでコスト安で競争力が強いとまで言われています。
そのような「形だけ」の脱炭素化などをいくら普及させても化石燃料の使用を減らすことにはならず、実際には使用が増え続けているのでしょう。
ここはどうしても「化石燃料不使用認証制度」(仮称)とでもいう制度を策定し、それを保証することで実質的な効果を作り出すべきだと考えます。
それを一言でいうと、「その製品に関わるものすべてで化石燃料を使っていないことを保証する」ということです。
例えばそういった装置などの組み立て工場は言うに及ばず、素材の製造段階、あらゆる関係する物品の輸送、製品の運転や維持管理、老朽化した際の廃棄に至るまですべての工程で化石燃料不使用であることを認証する仕組みを作り、製品の購入者がそれを確かめて買えるようにして、隠れて化石燃料を使用するような製品を締め出すということが目的です。
もちろん、最終製品の製造者がそれらすべてに責任を持つことは不可能ですので、それぞれの段階の関係者について認証機関が審査し認証することで運営していきます。
つまり、認証事業者としてたとえば「鉄鋼の化石燃料不使用認証事業者」、「大型貨物輸送の認証事業者」「ガラス製品の認証事業者」「廃棄物処理認証事業者」といった事業者を認定し、それらを選択して利用することで全体の工程で化石燃料フリーであることを保証する仕組みとするということです。
ただし、これらの原材料製造や輸送業者もその認証を取るためには化石燃料フリーの製造機器、輸送機器を選択して使用しなければいけませんので、非常にハードルが高いものとなるでしょう。
さらにそれらの関係業者が使用する電力についても化石燃料フリーである必要があるため、現状の電源構成比の状況ではどのようにやりくりしても必要な電力を供給することは不可能でしょうから、そこから変えていかなければ適用できません。
しかし、そもそもここまで厳しくする必要があるのか。
あえて言えば、「現状が抜け穴だらけ」であり、カーボンフリーなどと言う言葉もほとんど意味をなしていないのですから、すぐにでも取り掛からなければ全く手遅れとなりでしょう。
とはいえ、たとえば鉱石採掘の現場で使用する機器を化石燃料不使用などを求めても現在ではまったく不可能でしょう。
やはり当面はある程度の使用は認め、徐々に厳しく運用すると言ったことが必要かもしれません。
現状ではトータルエネルギー使用の80%以上が化石燃料不使用といった基準にしておくといった対応です。
ただし、そのためにもエネルギー使用量の正確な算定ということが必要となってきます。
その段階からの技術的な理論の裏付けが全く無いと言ってよい現段階からどうやって進んで行くのか。
例えば鉄板1枚を前にしてこれにどういった種類のエネルギーがどの程度かかってきたかをどれだけ正確に算定するか。
現状ではそのようなことはほぼ不可能でしょう。
先行きはまだまだ真っ暗闇のようです。