栄養疫学研究者の村上健太郎さんたちが書かれているブログ、「栄養を科学するブログ」で「食を測ることの難しさ」という記事が出ていました。
人間は食物を食べることで生きているのですが、その食べ方の状況によって健康を損なったりすることもあります。
そのようなことを研究していくのが栄養疫学という学問分野なのですが、そこでは「食べたものの調査」ということが不可欠です。
しかし、どうやら多くの人で「自分が食べた量」というものを正確には認識できないという問題があるということです。
栄養疫学研究は非常に多くの人の食生活を分析しなければいけませんので、その調査も対象者の自己申告によることが多くなっています。
そこでは「何をどれだけ食べたか」ということを質問し答えてもらうのですが、その摂取量が往々にして「少なく見積もられる」という問題があるということです。
その程度はかなり大きく、実際に食べた量の20%くらい少ない量しか食べていないと書き込んでしまうのが普通だとか。
そこには2つの理由があるそうです。
一つは、「こういった調査をするときは、普段より食べる量が少ない」
もう一つは、「実際に食べた量より、アンケートに書き込む量の方が少なくなる」ということです。
この「実際より少ない量を書きこむ」ということは、場合によって差があり、間食の場合が一番激しく、さらに「肥満者は自分が食べた量をより少なく感じる」という傾向が強いようです。
記事内では、こういった事例の研究結果について色々と紹介されています。
どこの国の研究でもこういった傾向が出ているようで、国による差はあまり無いのかもしれません。
こういったことを踏まえ、この記事では「食事と肥満の研究はとても難しい」と結んでいます。
いや、まったく身につまされる話です。
私もどうしても太りやすい体質で、かなり太った時期には病院で食事指導なども受けた経験がありますが、その時も食事の調査というものがあり、一応書いたのですが、やはりここで言われているように「肥満者は食べた量を少なく見積もる」傾向があるというのは実感できます。
こういった記録を正確にすることが食事療法の基本なのでしょうが、そこに落とし穴があったということでしょう。
なお、記事中には「栄養士であっても正確な記録は難しい」ということも書かれていました。
さすがに摂取量の見積もりは正確なのですが、その検査期間中普段通りの食生活を送るということが難しいということです。
やれやれ、そういった困難を乗り越えなければいけないのでしょう。
これで今年最後となりそうです。
良いお年を。