爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

正気か、バイオマス発電用の植物を「自力調達」

バイオマス発電用の植物を発電所構内で栽培する「栽培試験」を始めたというニュースです。

東北電力秋田発電所構内で、バイオマス発電の燃料となる植物の栽培試験を始めたそうです。

kahoku.news東北電力では現在でも石炭火力発電所で木材チップを燃やす「混焼」を実施しているそうですが、その「混焼率」は1%程度、それを2-3%まで上昇させたいとか。

これで二酸化炭素発生を少しでも相殺したいということですが。(しかしそれにしても”少し”の程度が激しすぎます。)

 

各地でバイオマス発電ということが行われていますが、「未利用の植物資源」を使って発電するためと称していますが、「未利用」であるのは単に海外から持ってくる木材資源がコスト安であるからだけの話であり、もしも石炭などの火力発電資源の輸入が途絶えた場合に国内の木材をはじめとする植物資源を用いてバイオマス発電をやったらあっという間にすべての植物が消えてしまうのは明らかです。

 

かつて、江戸時代から明治にかけての家庭の煮炊きに使う程度の枝葉の収奪によって、多くの人里近い里山の木々はどんどんと消えてしまいました。

それとはけた違いの現在の電力需要をバイオマス発電などで賄おうとするのは不可能です。

 

確かに現状ではまだかなりの「未利用資源」があるように見えるのですが、それに頼ってエネルギー施策を決めることはできません。

植物の資源量はどの程度か、そして発電するのに必要な熱量は、専門家が計算すればすぐに分かるはずです。

それでも電力会社が上記のようなことを実施するのは、モノを知らないメディアを利用して意味のない幻想を振りまき、「何かやってます」というポーズを取りたいだけでしょう。