著者の原さんは通産省の役人から規制改革担当大臣補佐官まで勤めた後、現在は政策コンサルタントをしているということで、役人のやり口についてはよくご存じなのでしょう。
規制改革と称して色々なことが行われているように見えますが、実際には大事な部分はしっかりと押さえているというのが実情です。
そこには、役人側の事情として、「できるだけ役人の裁量が多くなるようにしたい」という希望があり、また既得権益を持つ人々がそれを手放さないように役人に働きかけるということがあるようです。
そういった事例を、嫌と言うほど並べています。
タクシー運賃の決定、薬のネット販売、路上での弁当販売、漁業権、電波割り当て等々、役人がその権限を維持したいがために規制改革を骨抜きにしようとしている行為が延々と連ねられています。
また、規制改革をされてしまうと既得権益が失われる連中の抵抗というのも強く、それが役人の天下り先であるとさらにその動きが強まるようです。
どうも読んでいて腹が立つような事例ばかりで、気分の悪くなるような内容です。
ただし、「行き過ぎた規制改革」というものがあることも分かってきました。
貸し切りバス料金の自由化では運賃競争が行き過ぎて、運転手の質悪化や労働条件強化がひどくなり、重大な事故が頻発したのも記憶にあるものです。
こういった点はどういうことなのか、この本の範囲内ではよく分かりません。
そういう場合には別の力が働いているということでしょうか。