酒酔い運転であるとして検挙されたが「ワインの官能評価をしただけで飲酒はしていない」と抗弁していた男が裁判で有罪。
という判決があったそうです。
私も酒類メーカー勤務時代には酒類品質管理を担当していたこともあり、毎日のように官能検査(きき酒)をしていました。
もっとも多かったのは焼酎ですが、他にもワイン、日本酒、みりんなども検査したことがあります。
酒の種類によって主なポイントも少し差があり、焼酎の場合は鼻に抜ける香気が重要なので口に含む時間も少し長めだったかもしれません。
これはワインも同様でしょう。
それでも一応口に含んだ後は吐き出すことにはなっていました。
なお、勤めていた会社では製造していなかったため、ビールはまったく検査の機会もありませんでしたが、聞いた話ではビールでは喉越しというものが重要であるため、ある程度は飲まないと検査にならないということでした。
まあ、薄いからまだ良いのかもしれませんが。
ところが、口に含んで吐き出すと言ってもやはりその間に吸収されるアルコール分はバカになりません。
年に一回、国税局で開かれる酒類鑑評会の公開きき酒会というのがあるのですが、これは各メーカーが出品した酒の品質を競うもので、審査終了後に広く関係者にも出品酒を鑑定する機会を貰えるというもので、在職中は何度も出かけたものでした。
熊本国税局で開かれるものは、ほとんどが焼酎ですが、芋、麦、米、その他の各ジャンルそれぞれ100点以上、これを一つ一つきき酒していくと、たとえ吐き出したつもりでもかなり酔っぱらってしまいます。
特に車で来場しなければならない人たちなどは、運転だけの人を設けるなどの対策が必要だったようです。
しかし、件の被告はちょっとこの時代に認識が甘すぎでしょう。
さすがに酒類メーカー関係者はこういった人間はもう居ないでしょうが。