爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「利き酒」について

数年前に「お酒の話」と題してかつて勤務していた酒会社での経験について書いたことがありました。(2017年頃)

 

「利き酒」(ききさけ)(本当は”口偏に利”という字を使います)についてもそこで数回書いていますが、今日は実は夢の中でメインに出てきました。

ただし、「夢の話」として書くにはまったく筋が通らなくなってしまいましたので、それは止めておきます。

 

酒に限らず、食べ物や飲料、嗜好品などの製造に当たっては、それを食べたり飲んだりしてその品質を確認する、「官能検査」というものが必須です。

 

成分検査にはもうほとんど機器分析が進出していますが、この「味や香り」など(それ以外もあるのですが)の確認には人間の舌と鼻が関わらないと不可能です。

 

私が仕事で取り組んだものは、原料用アルコール(昔は日本酒に使われていたもの、今は缶入りカクテルなどの方に使われることが多い)と、焼酎などの酒類です。

他にも、噂だけは聞いているのがビール、ウイスキー、そして料理やケーキといったものです。

 

アルコールや焼酎の利き酒は、香りを嗅いだあと口に含み、鼻に抜ける香りを確かめた後吐き出します。

こんなものを飲み込んでいたら身体が持ちません。

しかし、噂に聞くビール業界では、喉越しの感覚が非常に大切ですので、飲み込むということを聞いたことがあります。

さらに、ウイスキーも非常に強いアルコール度数ながら、これも喉越しの時の香りというのが重要なので検査でも飲み込むとか。(本当かどうかは知りませんが)

 

また、食品の場合もどうしても食べなければ分からないのでしょうか。

子供の頃からの友人でケーキ屋をやっていたのが居ますが、職を親から継いだころからどんどん太りだしてしまい、どうなることかと思っていたのですが、店を止めてしまってからは逆にどんどんと痩せてしまったというのが居ます。

やはり、少しずつでも味見をしていくと仕方ないのでしょう。

 

前にも書いたかもしれませんが、国税局には鑑定官室という酒類醸造の品質向上を監督する(というか”見守る”)部署があり、そこでは管内の酒造会社の技術向上を図るために毎年新酒のコンクールが行われます。

各社が腕によりをかけた出品酒を製造し、その中でも特に良いものを年明けくらいに提出、その中から優良なものを表彰するというものです。

現役時代には焼酎の品質向上ということで、何度も参加しました。

 

その最後の日に優良酒製造会社の表彰と合わせて、出品酒の公開ということが行われます。

各社の技術者たちが総出で、熊本の国税局に詰めかけました。

熊本では、ほとんどが本格焼酎ですが、米・麦・芋・その他とそれぞれ100種に近いほどの出品酒が集まり、それを利き酒していくのですが、口に含んで吐き出すとはいっても最後にはかなり酒が回ってきました。

中には吐き出さずに飲み込む人も居りました。

 

会社を辞めてからは、そういったことからも離れ、酒は時々夕食時に飲む程度となってしまいました。

現役時代には味や香りにもかなり鋭敏に反応したのですが、もはや飲む酒は自分で買ったものしかなく、あまりうるさいことも言えません。

まあ楽しく飲めればそれで良いということでしょう。