リスク学者永井孝志さんが、マイクロプラスチック汚染のリスクについて日本学術会議の提言のレベルの低さについて書かれていた件は取り上げましたが、その続報が出ていました。
nagaitakashi.net今回は科学技術振興機構(JST)が2020年3月に公表した資料を基に紹介されています。
この報告書は前に取り上げた学術会議のものよりはかなりまともなようです。
世界でのマイクロプラスチック規制の状況についても触れられていますが、もっとも早い時期に規制されたのは2015年の米国ですが、これは「マイクロプラスチックビーズの添加」を規制しており、プラスチック製品全体の規制ではなかったようです。
しかしその後世界的にもプラスチック全体の規制へと広がっています。
ただし、これはマイクロプラスチックの有害性がはっきりと立証されたからというわけではないようで、そういった報告はまだ確立されていないようです。
なお、マイクロプラスチックの発生量の大きなものからリストが揚げられていました。
ドイツのフラウンホーファー研究所の発表ですが、ある意味で衝撃的なものです。
一位はダントツで自動車タイヤの摩耗、他にも摩耗アスファルト、人工芝からの流出、靴底の摩耗といったものが上位に来ています。
確かに、そういった環境との接点で使われているものが摩耗して散逸するというのがマイクロプラスチック発生の主要なルートというのは理解しやすいものです。
まとめとして書かれていることはどれも非常に分かり易いものとなっています。
流出を防ぐためには下水処理段階で取り除くのが効果的というのも現実的なものでしょう。
タイヤや人工芝からの流出は、雨水も併せて下水処理するシステムがより効果的のようです。
なお、上記のマイクロプラスチックビーズの規制は、数量的にはほとんど効果は少ないものでしたが、これをしたからということで安心してしまう効果、「モラルライセンシング効果」になってしまった危険性もあります。
これは、日本語では「免罪符効果」とも呼ばれるようですが、何か一つ象徴的なことをすることで他のもっと重要なものを忘れてしまうことです。
これは他にも無数にありそうです。