土壌などを通して農業を研究しておられる、西尾道徳さんのレポートを時々拝見しているのですが、話題の「マイクロプラスチック」が土壌と作物に与える影響を調査した研究をまとめていたので見てみました。
lib.ruralnet.or.jp引用されている研究論文はドイツの研究グループのもののようです。
プラスチックごみから生じるマイクロプラスチック(5mm未満の断片)が海洋を汚染しているということはようやく広く知られるようになりました。
しかし、こういったプラスチックは地上の農業地にも多数混入してきており、それが作物などに影響を与える恐れも指摘されています。
この研究では、実際に存在の可能性が考えられるようなプラスチックの小片を土壌中に入れ、そこで作物を育ててその影響を見ています。
まず、現在の農業地における土壌へのマイクロプラスチック混入状況ですが、これは海洋とは異なり、「タイヤからの破片」が多いということです。
タイヤの主成分はゴムですが、それ以外にも多数の添加物として混入されているプラスチックがあり、それが走行中に徐々に破片となり周囲の農業地を汚染しているようです。
実験方法としては、マイクロプラスチックを細かく砕いて土壌に混ぜ、水分活性や土壌微生物の状況を観察。
そして、その土壌に実際にタマネギを育て、その生育を見る。といったものです。
マイクロプラスチックには添加剤も含まれており、そこから染み出す成分が窒素源となることで植物の生育を促すという影響もあり、また土壌微生物の活性も上げることがあるようです。
土壌中の水分の蒸発量を上げる効果も出ています。
悪影響だけではないようですが、植物生育に混乱をもたらしているという見方もできるでしょう。
もはや止めることが難しいプラスチック汚染ですが、何かしなければならないのでしょうか。
なお、マイクロプラスチック汚染対策といえばレジ袋やストローなど、「比較的対処しやすい」ものばかりが話題になりますが、本当の問題点はここでは「タイヤ」にありました。
自動車のタイヤをどうすべきなのでしょうか。
「できるところから取り掛かる」運動の難しさがここにあります。