爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

飲食店で気を付けるべきは「グループ間感染」か「グループ内感染」か、永井孝志さんのリスク学研究より

リスク学研究者で、さまざまなリスクについて書かれている永井孝志さんの「リスクと共により良く生きる」で、飲食店でのウイルス感染防止について興味深いことが書かれていました。

nagaitakashi.net

GOTOキャンペーンでは、それを受ける旅館・ホテルや飲食店での感染症対策がきちんとされているかどうかが重要視されています。

 

しかし、それはどう見ても形だけというところがほとんどではないかと言う疑問はこれまでにも何度も書かせていただきました。

 

永井さんの今回の文章では、それが「グループ内」か「グループ間」かで対処の方法も違うということ、さらにGOTOイートキャンペーンでは、これまでの各業種での感染防御ガイドラインより後退しているのではないかということが述べられています。

 

家族だけで飲食店に行って食事するのであれば、「グループ内」で感染する可能性は極めて低いものでしょう。

それ以前に十分に接触していますので、感染するならもう全員感染していることになります。

しかし、友人・知人、親戚など、普段は一緒に居るわけではない人たちが一緒に会食するのが「グループ内」なわけです。

 

そういうわけで、飲食店での会食の際の注意は「グループ間」より「グループ内」に向けられるべきだということです。

 

ところが、今回のGOTOイートキャンペーンの感染対策では、このグループ内感染防止のための対策と考えられる「テーブル上のアクリル板等による隔離」というものが抜けており、これは今年5月14日に出された外食事業向けの対策ガイドラインより後退しています。

 

どうもGOTOイート用の感染対策では「グループ間感染防止」しか考えていないようです。

あるいは、あまり厳密な対策をしてもしょうがないと意図的にカットしたか。

 

さらに、その他の記述についても、「徹底した」「できるだけ」「適度な」といったあいまいな表現が多く、具体的な数値基準が設けられていないようです。

 

最近の飲食店由来の感染拡大も、「グループ間」および「客から従業員へ」というものも見られますが、やはり多いのは「その時のグループ内」での感染拡大のようです。

それに対するにGOTOイート用の感染対策基準ではどうやら不十分なようです。

これでは、経済再興優先だと見られても仕方ないでしょう。

 

なお、GOTOトラベルについては何も触れられていませんが、旅行での宿泊施設ではだいたい家族や親密なグループでの宿泊でしょうから、これの方が意外にグループ内のリスクは低いのかもしれません。

もちろん、旅館ではそうでしょうが土産物店や飲食店では別問題ですが。