世界各国で新型コロナウイルス(COVID-19)に対するワクチンの開発が進められていますが、アメリカではトランプ大統領がこの先3-4週間で供給できると言明したのに対し、CDC(アメリカ疾病センター)のレッドフィールド所長は国民への提供は来年半ば以降であると表明しました。
news.yahoo.co.jp多くの医療関係者がワクチン開発には慎重な対応が必要としていますが、トランプは大統領選挙のことばかりを考えていますので、それに間に合わせようということだとは誰でも想像できます。
医薬品としての承認などは無理やり通したとしても、製造がそこまで間に合うとは思えませんので、年内にアメリカ人すべてに接種などということは不可能でしょう。
ただし、「トランプ支持者」たちにとってはこのような話でも好意的に取られる可能性は十分にあります。
とにかく、選挙さえ勝てばという姿勢には危うさを感じるのみですが、それでも通るのがアメリカという社会なのでしょう。
ワクチンなどという分野はほとんど無知でしたが、急ごしらえのウィキペディア仕込みの知識でとってつけました。
伝統的には、ウイルスを弱毒化したものを直接使う、生ワクチン、そして殺菌してから使う不活化ワクチン、さらにウイルスが作り出すトキソイドなどを使うものなどがあったそうです。
しかし、それらのワクチン開発には相当な年月がかかるため、今回は最新の技術が使われているようです。
DNAワクチンや、mRNAワクチンと言われるものですが、ウイルスそのものを使うのではなく遺伝情報で行うようです。
現在非常に速く開発されているものはそちらの方法で作られているのでしょう。
従来法で開発されているものはまだ数年かかるようです。
問題は、そのような新型のワクチンが本当に有効か、そして安全性はどうかということです。
日本のワクチン開発の状況は以下にまとめられています。
dm-net.co.jp糖尿病ネットワークというところに書かれていたものです。
COVID-19用のワクチンとしては、第一三共と東大医科研のグループがmRNAワクチン、アンジェス・タカラバイオ・大阪大がDNAワクチンを開発中ということです。
いずれも、ウイルスの遺伝情報を人体に投与することで人体の中でウイルスのタンパクを合成させ、それに対する抗体が作られ免疫ができるということです。
従来型のワクチンは鶏卵中にウイルスを接種して作成されますので、時間もかかり製造数も限られてしまいますが、それに比べて早くできるのは確かなようです。
安全性についても、生ワクチン・不活化ワクチンのようにウイルスそのものを使う場合はウイルスの復活という危険性もありますが、遺伝情報だけならそのようなことは無いということは間違いないようです。
ただし、別の危険性はあります。
少し前の記事ですが、まとめられたものがあります。
抗体が作られそれで免疫力を発揮するという筋書きはできていても、それが本当にコントロール可能なものなのかどうか、そこも不確定のようです。
ただ、新型コロナウイルスのワクチンの開発がとんとん拍子で進み、大規模臨床試験で安全性、有用性が確認されて、すぐに世界で誰もが使えるようになるかどうかは分からない。というのも、ワクチンは宿主の免疫を誘導するものなので、一般的に、動物実験の結果からヒトでの臨床試験の結果を類推しにくく、また、スパイク蛋白質のように、病原体の1つの蛋白質を抗原としたワクチンでは、その蛋白質に変異が生じると効きにくくなるリスクがある、といった難しさがあるためだ。さらに、複数の業界関係者は、新型コロナウイルスのワクチン接種後に、「実際のウイルスに自然感染すると、通常よりもウイルスを取り込みやすくなる『抗体依存性感染増強(Antibody Dependent Enhancement:ADE)』という現象が起きるリスクがある」と指摘している。
メカニズムが完全に解明されているわけではないものの、ADEは、ワクチン接種などで中途半端な免疫応答が誘導された場合に起きると考えられている現象だ。ワクチン接種後にウイルスに自然感染した際に、ワクチン接種で誘導された抗ウイルス抗体の一部が悪さをして、ウイルスを積極的に宿主の細胞に取り込むようになり、感染を促進させてしまうと推定されている。
文中の「ADE」という現象で、フィリピンでデング熱ワクチンとして開発されていたものの治験で数十人の小児が死亡したという事故も起きているようです。
どうやら、ワクチンができたと言われてもしばらくは様子を見ていた方が良いのかもしれません。