ニセ医学と闘い続けている内科医NATROMさんのブログで、表題のようなものが掲載されていました。
HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が子宮頸がんの原因となるとして、HPVワクチンが開発され、女性の接種が勧められたのですが、希に副作用で強い痛みを感じる人が発生したということで、すっかり接種率が低下してしまいました。
しかし、そのワクチンが「子宮頸がんを増やす」と主張する人も居るというのには驚きですが本当のようです。
natrom.hatenablog.comこの話の出どころはやはりかなり医学知識のある人のようですが、各種の医学情報を都合よく切り貼りしてそういった話を作り上げているようです。
「オーストラリアでは2007年からHPVワクチンが導入されたが、むしろ子宮頸がんは増加し続けている」という主張とともに以下のようなグラフが提示される*4。
(グラフ自体はツイッターからの引用のようですが、孫引きになるのでここでは表示しません)
つまり、HPVワクチンが広く接種されているオーストラリアで同じ時期に子宮頸がんが増え続けているという現象をリンクさせ、直結して解釈しようとしています。
もちろんこれは別の要因が影響しているためであり、年齢を考慮して集計しなおせば高年齢化によるものだということが明らかになります。
もう一つの話はイギリスですが、やはり2008年から接種しているのにここ10年で若年層の子宮頸がん発生率が上がっているというものですが、これも元のデータを発表した論文ですら、「だからHPVワクチンを接種しよう」という主張でまとめているのに、そこは無視してあたかもワクチン接種がガン増加につながるような印象を持たせています。
なお、NATROMさんの指摘によれば、この話の出どころはイギリスの大学で科学コミュニケーションを教えている人物だとか。
他の国のデータでも、HPVワクチン接種が子宮頸がん発生の増加につながるという例は見られません。
しかし、反ワクチンを唱える人々はこういった主張を(裏まで分かった上で)しているということです。
気を付けなければ取り込まれかねないというところでしょう。
なお、NATROMさんは福岡の内科医ということですが、コロナ禍の対応で大変なのか、なかなかブログ更新が進まないようです。
お身体に気を付けて頂きたいものです。